「お金あっても不幸な人」「なくても幸せな人」の差 田内学×銅冶勇人「お金か仲間か」対談【後編】
田内:本の内容は、僕の過去の経験も基になっていますが、銅冶さんから聞いたアフリカの話にも大きな影響を受けています。
日本で豊かさの話題になると、30年前や10年前と比べて賃金がどうなっているのかって話になるけれど、アフリカは生活ぶりにフォーカスされる印象です。
教育や医療はもちろん、楽しく仕事をするとか、生活の内容に豊かさを感じているように思います。
銅冶:大学4年生のとき、初めてケニアに行ったことがきっかけで今の活動に至るんですけど、行けば行くほど、与えてもらうものが多いなと思います。
まさに今おっしゃっていたとおり、豊かさとは何なのかを自分に対して問う、これが一番大きかったですね。
現地に行って何回目かに、カメラの電池が壊れちゃったことがあったんです。撮れなくてごめんなっていうと、5~6歳くらいの子に「目があるから。記憶に焼き付けておけばずっと思い出せるから大丈夫だよ」って言われたんです。
田内:それは僕も思ってました。運動会で、カメラをずっと回して子供を追いかけて、フレームに入れなきゃいけないってことだけ考えていると、生の目で見られないんですよね。
瞬間を直接見ることが大事だとは思いつつ、つい役目としてやっちゃうんだけど、目に焼き付けるっていうのも大事ですよね。
自分の物差しで生きると幸せになれる
田内:宮台真司さんが、昔は祭りでエネルギーをもらっていたから、集団の中でエネルギーをくれる奴は大事って話をしていたんですが、これ銅冶さんのことだなって思ったんですよ。
普段農村には定住民しかいないけど、祭りのときに非定住民たちも呼んで一緒に騒ぐことで、非定住民からもらったエネルギーを蓄えてまた次の日から頑張れるって話。
銅冶さんは僕らにエネルギーをくれるんだけど、銅冶さんはアフリカから元気になって帰ってくるから、そのエネルギーはアフリカから来てるのかなって。