肥満治療薬「美容目的で使う人」に生じる"その後" シワが増える「セマグルチド顔」が米国で問題に
問題は、うつ傾向が強い人の中にはやせ願望が強く、個人輸入などのかたちで主治医の精神科医に隠れてGLP-1受容体作動薬を利用する人がいる、ということだ。
自殺企図などの副作用が出ても情報を収集することができず、水面下で被害が増える可能性がある。政府はもちろん、専門家やメディアもリスクについて啓蒙する必要がある。
一部で報告、発がんとの関係は?
発がんについての懸念も報告されている。それは5月、EMAがノボ・ノルディスク社が販売する別のGLP-1受容体作動薬のリラグルチドの使用者で、甲状腺がんの増加が認められたというものだ。
一方で、5月にはアイルランドの研究者が、GLP-1受容体作動薬がナチュラル・キラー細胞などの免疫系を活性化し発がんを予防するなど、まったく逆の研究成果を『Obesity(肥満)』誌に発表している。
GLP-1受容体作動薬が免疫を活性化することについては、ほかの研究グループからも発表されている。まだ、結論は出ていないが、現時点では大きな心配はしないでいいだろう。
筆者はがん家系の肥満患者に対しては、発がんのリスクよりも減量の効果のほうが大きいと考え、GLP-1受容体作動薬の使用を勧めている。
これが現時点でわかっているGLP-1受容体作動薬の負の側面だ。今後、ますます研究が進むだろう。状況は大きく変わるはずだ。使用にあたっては、ぜひ肥満治療を専門とする医師にご相談いただきたい。
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