肥満治療薬「美容目的で使う人」に生じる"その後" シワが増える「セマグルチド顔」が米国で問題に

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サルコペニア肥満の予防には、筋肉トレーニングが有効だ。特にスクワットや腕立て伏せ、ダンベル体操などの筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返しかける運動がいい。少なくとも、肥満の治療でセマグルチドの使用をお考えの方は、是非、筋肉トレーニングを併用することをお勧めしたい。

肥満の程度や、肥満による運動器の障害(膝痛など)の有無で必要となる運動量が異なるため、どのようなトレーニングをすべきかについては、治療を受ける先の医師に聞くといいだろう。

さらに、セマグルチドは若い女性が「やせて美しくなる」こと、つまり美容目的に使うケースが問題になっている。この薬は筋肉量の低下以外に美容面でも問題がある。それは、筋肉であろうが、脂肪であろうが、急速な減量によって皮膚のシワやたるみが増えてしまうからだ。

薬がもたらすセマグルチド顔とは?

大西医師は、「アメリカでは“セマグルチド顔”と言われ、社会問題となっている」と話す。このセマグルチド顔を治すために、ヒアルロン酸などの皮膚充填剤の注入や、レーザーや手術による皮膚引き締め術を必要とする人もいるという。せっかく美容目的にやせ薬を始めても、これでは、かえって美容を損ねてしまう。

GLP-1受容体作動薬の問題は、これだけではない。自殺企図についても懸念がある。自殺企図とは、首つりやリストカットなどの手段で、実際に自殺を企てることだ。

アイスランドからのセマグルチドの使用と自傷、あるいは自殺企図行為に関連の可能性がある3例の報告を受け、7月にヨーロッパ医薬品庁(EMA)が調査を開始した。EMAは製薬企業に情報提供を求めている。

因果関係について現時点では結論に至っていないが、関係者の関心は強く、来年4月にヨーロッパで開催されるEMAのPRAC(Pharmacovigilance Risk Assessment Committee:ファーマコビジランス リスク評価委員会)では、この問題が主要な課題として挙げられている。同委員会はEUで医薬品の安全性に関する情報を収集し、安全性を評価、措置する最高機関である。ヨーロッパがいかにこの問題を重大視しているかおわかりいただけるだろう。

この懸念について、結論がはっきりするまで筆者はうつ傾向など自殺のリスクが高い人には、GLP-1受容体作動薬の使用を控えるよう、ことあるごとに助言している。

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