元いた会社へ「出戻り」社員が語る、驚く"心の変化" 転職でも独立でもなく「復職」を選んだ理由とは

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私が個人的に驚いたのは、この方のように復職する人が一定数いるということです。

キャリアブレイクを人生の転機のように感じて大きな変化を求め、現状を変えようと業種や職種をシフトしようとする人はもちろんいます。

しかし、現状の仕事に不満があって離れているのだからどこか別の環境にいくのだろう、と私自身が勝手に決めつけたイメージを持っていたことに気づきました。

一方で、そういった目に見える転機だけではなく、自分の中で働くことの納得感にたどり着くような、内面的な転機を経て復職していく人もいます。傍から見ると、小休止を経て、また同じ仕事に戻っていく様子しか見えないので、どこか物足りなさを感じたりもしますが、本人の満足感は高いのです。

社会から離れると、評価軸が格段に減って、最終的には自分の納得感が判断の上位に来ます。そうした一人ひとりの決断、自己決定はとても尊いと思います。

仕事への「納得感」と仕事以外の「やりがい」

復職するときにちょっとした特徴があります。

仕事から離れている間に、改めて現状の仕事を続けることに納得感が整った「パーパス(目的)型」の人。このタイプの人は、小休止を経て、自分のパワーの拠り所を再発見し、元の環境でも納得感という強さを持って働き始めます。

また、復職するときに、自分のやりがいのある趣味や活動、小さな仕事を小脇に抱えて戻っていく「スラッシュ型」の人がいます。

スラッシュとは「/」のことです。スラッシュキャリアとは、「医者/プロレスラー」「事務員/アクセサリー作家」「看護師/カメラマン」「大学職員/料理人」など、複数の肩書きや職業を持ち合わせることを指す言葉で、2007年にアメリカのジャーナリストであるマーシー・アルボハーによって提唱された概念です。

キャリアブレイクを経て、会社から一度離れてみて、自分のやりたいこと、やってみたいことが見つかった。ただ、それを職業にするには、心もとない。一方で、元いた会社では、生きがいとまではいかないが、自分の能力が活かせていることを再認識できた。

そんな人は、「職業/やりがい」のように、自分を心地よく保てるバランスにするためにスラッシュの状態で復職します。

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