ENEOS「社長セクハラ解任」も安易に非難できぬ訳 むしろ自浄作用が適切に機能した事例と言える

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同社は、12月19日に斉藤猛社長を解任したと発表した。正確には代表の役は解任され、取締役は辞任。その理由は、内部通報で不適切行動が指摘されたからだ。11月末に内部通報があり、調査と事実確認を進め、この決断にいたった。

ENEOS
解任された斉藤猛氏(出所:ENEOS公式サイト)

内容は酩酊状態で、女性に抱きつく事態があったという。なお、昨年に当時の会長が性加害で辞任しているから立て続けの“事件”となる。

ENEOS会見
12月19日の記者会見で頭を下げるENEOSホールディングス社外取締役の西岡清一郎監査等委員(中央)ら。斉藤猛社長をはじめ、不祥事を起こした取締役は会見の場に現れなかった(撮影:尾形文繁)

同氏は自制が利かないほどの飲酒だったとした。同時に同席した副社長は辞任した。また同じく同席した常務執行役員は、不適切な発言があり月額報酬を3カ月、30%減額する。

2年連続の不祥事、さすがに多くの論点が浮かぶ

なお、ざっと考えただけで次の論点が思い浮かぶ。

・同社は決算資料でも女性活躍推進や従業員エンゲージメントの向上を、相当に力を入れて説明していた。ただ、それを説明する上層部の意識改革が進んでいなかったのではないか。
・同社のコンプライアンスでは「従業員が上長との面談を通じ、疑問・懸念を含めたコンプライアンス上の問題点を洗い出し、法令等違反行為の未然防止と早期の発見・是正」と謳われているが、上長の存在しない上層部は防げないというわけか。
・内部通報の一報の前に、同席していた他の取締役や執行役員(やその他社員)は、その場で注意を促さなかったのだろうか。

ところで、これは同社と関係がない、ただの一般論というか私の独り言だ。

これまで何十年と酒席の場で寡黙に飲み続けていた人が、いきなり女性に抱きついたりするものなのだろうか。おそらく、周りが驚いて狼狽したり、止めたりするにちがいない。昔から似たようなことをやっていた可能性があると思う。そして若い頃からハラスメント行為をする傾向のある社員を、上に引き上げるのはきわめて危険な時代になったといえるだろう。

なお、ここまでで私の独り言は終わる。

次ページ同社の対応を見ると、やるべきことをやっているのも事実
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