ガラッと変わった「ミシュラン東京」を読み解く 新設された「セレクテッド」部門、その意味は?

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また、2024年に新たに星を獲得した18軒のうち、新規で二つ星を獲得したのがイノベーティブ料理の「マス」。「マス」は南米ペルー・リマにあって「世界のベストレストラン50」で2023年に世界1位となった「セントラル」の支店だ。

「マス」の料理。「海岸砂漠 85MASL ホタテ – カボチャ – ウニ」もそもそとした食感は、ペルーの砂漠の乾いたイメージを感じさせた(筆者撮影)

「マス」のシェフ、サンティアゴ・フェルナンデス氏は、「セントラル」のヴィルヒリオ・マルティネス氏の提唱するコンセプト「マーテル・エレベーション(母なる標高)」を日本食材で表現。季節が高度によって変わるというペルーのユニークな自然環境を、独自の料理で伝える手腕が評価された。

星の位置づけを改めて見てみる

ミシュランガイドにおける星の位置づけは次のとおりだ。

三つ星:そのために旅行する価値のある卓越した料理
二つ星:遠回りしてでも訪れる価値のある素晴らしい料理
一つ星:近くに訪れたら行く価値のある優れた料理
ビブグルマン:価格以上の満足感が得られる料理

一つ星は138軒(新規16件)。2023年の149軒から11軒(約8%)減っており、「価格以上の満足感が得られる料理」を顕彰するビブグルマンは127軒(新規9軒)で、昨年の222軒からほぼ半減している。

(画像:日本ミシュランタイヤ プレスリリース)

減った分の多くはどこに行ったかというと、これが今回新たに設けられた「セレクテッドレストラン」というカテゴリーだ。

ミシュランガイド公式サイトでは「おすすめレストラン」という呼称になっている。

これはフランスなどで「The Assiette(アシェット)」、いわゆる「ミシュランプレート」と呼ばれていたものとほぼ同じと思われる。日本においても、九州などかつて刊行された特別版には「ミシュランプレート」の設定があった。東京で設定されるのは今回が初めてになる。

意外なことに「セレクテッド」は、今年新設されたが、すべて新規掲載店というわけではなかった。

「セレクテッド」194軒のうち新規掲載は142軒。つまり、残り52軒は2023年のビブグルマンか一つ星から移行した店で(それぞれ36軒と16軒)、その数は2024年の「セレクテッド」全体の26%に及ぶ。

そもそも「セレクテッドレストラン」はどんな評価なのだろうか。

実は、公式サイトや書籍にその定義ははっきりとは説明されていない。かつて日本国内の特別版では、「ミシュランプレート」に対して「ミシュランの基準を満たした料理 適正な食材で作られている」と説明されていた。

星には届かない評価であるのは間違いないところだろうが、ではビブグルマンと「セレクテッドレストラン」のどちらの評価が高いのかについては示されていない。

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