10年間のリコールの現状から探る「消費者の安全」 火災発生危惧も消費者の3割、事業者に連絡せず

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では、ここからは「品質・マーケティング」について企業がどのようなことを求められているのか、セクター・業種ごとの取り組みと、実際の事例を一部紹介していきましょう。

■品質問題が問われる「家電製品の製造」

家電製品の場合、顧客自身による保守・点検が難しい状況下において、経年変化により火災や死亡事故など重大事故が発生する恐れのある製品を、安全かつ長期間使用できるように、製品開発やアフターサービスを行うことが企業には求められています。

主要なサステナビリティ基準であるSASBスタンダードでは、品質管理に関する業務プロセスとして、プロダクトデザイン、製品安全試験、リスクの特徴付け、製品リスクの優先順位、製品表示、製品リスクに関する情報の共有、製品リスクに関する新たな情報の管理について整備することを求めています。

社会・顧客に与えるインパクトとして、法規制および自主規制を対象に、発令されたリコールの件数、製品リコールの台数だけでなく、リコール関連情報として、リコール問題と原因の説明、総リコール数、問題を是正するための費用、リコールが自発的か非自発的かの区分、是正措置、法的手続きや顧客死亡などの結果の開示も求めています。

事例:ノートパソコン約25万台に発火の恐れ※
 

ある総合電機メーカーは2011年6月~2015年3月に製造されたノートパソコンのバッテリーパックで、全世界で25万5806台を対象にリコールを行いました。うち日本国内では150機種に搭載された、9万5811個が対象とされています。

原因はいずれも、バッテリーパックの中にあるバッテリーセルへ異物が混入し、異常過熱し発火・発煙に至ったとしています。

※出所:日経XTECH「東芝・パナソニック、ノート27万台に発火の恐れ パナ製電池に不具合」

マンション強度不足で賠償命令も

エンジニアリング・建設サービスの企業は、建設現場におけるデジタルとリアルのベストミックスの追究、建設技能労働者の評価や処遇改善などを通じて、高品質な製品・サービスを安定的に供給する取り組みを行っています。建設サービスは、多様な工種があり、自然の中での工事や都市部での作業など、施工条件も千差万別です。

各工種に精通した経験豊富な技術者が、計画段階から参画し、施工上のリスクを抽出・排除することで、施工の品質担保を行っています。

主要なサステナビリティ基準であるSASBスタンダードでは、品質問題に伴う経済価値インパクトとして、注文変更、範囲修正や設計修正、欠陥に伴う手直し費用額を開示することを求めています。

手直し費用の範囲には、人件費、原材料費、設計費、設備費および下請業者に関連する費用等が該当します。また、欠陥および安全関連災害に伴う法的手続きに起因する金銭的損失の総額を開示することが求められます。

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