中国の日本企業への投資が急増、事業運営や人事でトラブル発生の懸念


意外な指摘とも思われるが、同法律事務所は日本企業の中国進出に対応するように1998年に北京事務所を設置している。いずれ中国企業の日本進出があるとの見通しの下に、日本でも中国企業との問題に取り組んできた。

最近、「外国法務事務弁護士」「中華人民共和国律師(弁護士)」と名刺に刷り込んだ中国人の社員が日本の製造業や金融機関の国際アドバイザリー部門に在籍しているケースが多くなった(※「律師」は中国語で弁護士の意味)。中国進出に際して中国の法律や中国企業(あるいは中国人)の考え方を日本企業にアドバイスするために雇用されているわけだが、その逆(中国企業の日本進出)はどうだろうか。残念ながら、中国企業がこういった人材を採用している例は少ないようだ。

野村證券でM&Aにも携わっていた前出の大塚氏は、「経営権を持つ中国企業が雇用や処遇面で日本の法律を無視するような行為に出てきた場合は、正統な手続きに沿って日本の裁判所の判断に委ねるしかありません。残念ながら、彼らと対等に話し合える社内人材は決定的に不足しています」。

認識の甘い日本企業

ラオックスの場合は、中国の蘇寧電器集団が出資とともに役員2名を派遣してきた。しかし、両社の間を取り持ち、自らも出資してラオックス社長に就いて再建に乗り出したのは羅怡文氏(中文産業社長)氏だ。羅氏は日本留学後に日本で起業し、日本文化にもなじんでいる。こういうケースは例外として、今後、親会社(中国企業)から派遣されてきた中国人幹部と日本人(経営陣や従業員)との間で起こる事業運営のあり方や雇用、文化摩擦の問題をどう乗り越えるか。

中国企業の出資を受けた前述のレナウンでも、「中国式の考え方に染まらないかぎり、この会社では生き残れない」と危惧する社員もいたが、現時点ではまだ深刻な状況は生まれていない。

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