世界はなぜ、「五ノ井里奈さん」を絶賛するのか 久しぶりに日本のイメージ改善させるニュース

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その1人はジャーナリストの伊藤詩織だ。数年前、彼女はセクハラとの戦いでイギリスBBCやアメリカの『タイム』誌などの世界の大手メディアで報道された。彼女の事件を描いた映画『ブラックボックス・ダイアリー』は、世界で最も注目される映画コンペティションの1つであるサンダンス映画祭に出品されたばかりだ。

そして、自国の政府から鼻であしらわれた五ノ井は、『タイム』誌から世界の未来のリーダーの1人に選ばれ、こう紹介されている(記事の執筆者は伊藤詩織である)。「日本社会では、性暴力について発言することは長い間タブーだったが、里奈の勇気はすべてのサバイバーに門戸を開いた」。

改革の道が日本にあることを示した

CBSニュースのアジア特派員であり、アメリカで最も尊敬されているジャーナリストの1人であるエリザベス・パーマーは、「私はあなたの勇気をとても賞賛する」とコメントしている。

五ノ井は、「彼女は性的暴行の裁判で勝訴した。彼女は今、他の人々が苦しまないように自衛隊が変わることを望んでいる」と題されたAP通信の長編記事でも紹介された。

この記事は、フランスの『ル・フィガロ』紙、シンガポールの『ストレーツ・タイムズ』紙、イギリスの『フィナンシャル・タイムズ』紙、『ガーディアン』紙、アメリカの『ワシントン・ポスト』紙、『CNN』、『BBC』、その他数え切れないほどの海外メディアに掲載されている。

五ノ井のような人たちは、日本が一見して見える以上に複雑であることと同時に、キックバックや保守主義のスキャンダルの裏に希望があることを示している。勇気を持って声を上げる人がいることは、たとえそれが当たり前のことでないにしても、世界のほとんどの国にはない改革の道が日本にはあることを示している。

レジス・アルノー 『フランス・ジャポン・エコー』編集長、仏フィガロ東京特派員

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Régis Arnaud

ジャーナリスト。フランスの日刊紙ル・フィガロ、週刊経済誌『シャランジュ』の東京特派員、日仏語ビジネス誌『フランス・ジャポン・エコー』の編集長を務めるほか、阿波踊りパリのプロデュースも手掛ける。小説『Tokyo c’est fini』(1996年)の著者。近著に『誰も知らないカルロス・ゴーンの真実』(2020年)がある。

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