わが子を「お金で困らせない」親が知るべき三原則 「年収の高い仕事がいい」その発想では稼げない

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小説の中盤では、七海と優斗は3つの原則についてようやく理解します。

エアコンの送風音が聞こえてくる部屋の中で、七海がぽつりとつぶやいた。
「私たちは、お金を過信しているんですね」
その言葉に、ボスが顔を輝かせる。
「まさに、それなんや」
それこそが、3つの謎を通して、ボスが伝えたかったことのようだ。
「お金は無力なんや。それに気づかへんと、お金を集めることだけに夢中になる。ここからがスタートや。ようやく君らと未来の話ができる」
『きみのお金は誰のため』114ページ

スタンフォードの学生が「起業」する真の意味

日本の大学生の多くは、高い給料がもらえる安定した大企業で働くことを目指すそうです。ところが、お金や社会の仕組みについて理解しているスタンフォードの大学生はまったく別の進路を選びます

大企業で働くことよりも、未来を良くするために自分が何をすべきかを考えるそうです。社会が抱える不便さや問題を解決するために仲間を集め、さらに投資してくれる仲間も集めます。投資を学んでお金を増やそうとするのではなく、投資してもらう側に回るのです。

そして、結果的に彼らのほうが高い年収を手にします

お金の教育は、子どもだけの話ではありません。来年からNISAもはじまり、投資について学ぼうとされる人たちが増えています。どんなに投資に詳しくなっても、お金自体について知らないと、道具であるはずのお金自体を目的にして、お金に振り回されることになります。

ぜひ、この機会にお金の三原則の意味について考えてみてください。親がお金と正しく向き合えていれば、心配しなくてもお子さんがお金に困ることはないと思うのです。

田内 学 お金の向こう研究所代表・社会的金融教育家

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たうち・まなぶ / Manabu Tauchi

お金の向こう研究所代表・社会的金融教育家。2003年ゴールドマン・サックス証券入社。日本国債、円金利デリバティブなどの取引に従事。19年に退職後、執筆活動を始める。著書に『お金のむこうに人がいる』、高校の社会科教科書『公共』(共著)など。

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