わが子を「お金で困らせない」親が知るべき三原則 「年収の高い仕事がいい」その発想では稼げない

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繰り返しますが、僕は17年近く、金融市場でトレーダーをしてきました。キレイ事を言うだけで生きてこれるはずがありません。この答えが、お金というものを突き詰めて考えたときの結論です。

親が知っておきたい「お金の正体」

この話を伝えたくて、今回、小説『きみのお金は誰のため』を書いたのですが、お子さんやその親御さんに知ってもらいたいのは、お金という道具の役割です。小説の冒頭では、そのお金の役割を考えてもらうために、先生役の“ボス”は、お金の驚くべき正体を語ります。

「お金の正体……ですか?」
七海が整った眉をひそめた。
「簡単なことや。たったの3つの真実や」
ボスが小さな指を立てながら、数え上げる。
「一、お金自体には価値がない。
 二、お金で解決できる問題はない。
 三、みんなでお金を貯めても意味がない」
真実も何も、すべてが真逆じゃないか。そう思った優斗は疑問をそのまま口にした。
「謎すぎますよ。だって、明らかにお金には価値があります、よね?」
味方を探して隣を向くと、七海がうなずいて続けてくれた。
「私もそう思います。お金で解決できない問題もありますが、多くの問題はお金で解決します。お金を貯めることにしても、将来に備えるためには必要なことです」
『きみのお金は誰のため』19ページより

七海という登場人物は投資銀行で働いていて、一般的な認識に近いことを主張しています。それは、中学生の優斗にとっても当たり前のことです。

個人としての視点では正しいのですが、社会全体の視点においては見え方が変わります。お金の正体はまったく真逆で、ボスの言う三原則のとおりです。

一、お金自体には価値がない。

二、お金で解決できる問題はない。

三、みんなでお金を貯めても意味がない。

それぞれの詳しい説明は本小説に任せますが、僕たちがお金に絶対的な力があるように錯覚するのは、社会全体が見えていないからです。

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