「東京がすごかった時代」と既に始まっている衰退 富裕層のための再開発に哀愁が漂う
もちろん魅力的な都市ではあるが、世界における相対的な魅力でいえば年々そのランクを落としていることだろう。「衰退途上国」とも揶揄される日本において、東京は最後の希望なのかもしれないが、もうイケてる街ではない。ある程度の基盤をこの街で作った後はどこか別のところへ行く方がいいのでは、と50歳を目前にして考えるようになったのだ。
そして、今、東京が新たな都市開発をしているのを見ると、どことなく哀愁を感じてしまう。
2023年4月14日にオープンした東急歌舞伎町タワーは、地上225メートルの中に高級ホテル、ライブハウス、劇場が完備されたバブルっぽさと人間のプンプンとした欲望が凝縮されたような施設である。ここで日常的に遊べる人はわずかだろう。もちろん足を踏み入れるだけならばタダだし、海外オタクが好きそうなガチャポンをGETする程度ならばできるが。
日本人は豊かではない
もう、日本人は貧乏なのだ。2021年の東京五輪と2023年の野球の世界一決定戦・WBCの時期は、「海外の記者が日本のコンビニスイーツのレベルに感激!」的な記事がネットに多数登場。この手の記事がアクセスを稼ぐことを知った各メディアは、WBC後もJリーグの「スタジアムめし」を外国人が絶賛している様を紹介した。
その中でも特に哀愁が漂ったのが、カツ丼が1500円(12ドル)であることにアメリカ人が「このクオリティで12ドルは安い! MLS(米サッカーリーグ)だと37ドルはするぜ!」と書いた。
この記事に対しては日本の食のおいしさを誇る人もいたが、「Yahoo!ニュース」のコメント欄を見ると「チケット代に加え、交通費もかけてスタジアムに行っているわけで、私には1500円のカツ丼なんて食べられません。事前に食事は済ませてきます」的な嘆きも多数書き込まれていたのだ。
そして、「東洋経済オンライン」が4月11日に公開した『絶好調の「伊勢丹新宿店」を支える顧客たちの正体 22年度の売上高がバブルの最盛期越える公算』という記事も哀愁が漂う。記事はこのように始まる。
〈三越伊勢丹ホールディングスが4月3日に発表した3月の売上高(速報値)によると、伊勢丹新宿本店の3月度売上高が前年同月比24.8%増を記録した。
2022年4月以降は12カ月連続でコロナ禍前の2018年度を上回るペースで推移しており、2022年累計では1991年度の過去最高売上高(3000億円超)を上回る見込みだ。
2021年度の国内百貨店売上高は4兆4183億円で、1991年度の9兆71
30億円から百貨店市場が大幅に縮小していること、インバウンド需要が本格的に戻ってきたのは今年に入ってからということを考えると、にわかには信じられない好業績である〉
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