地球に迫る「大量絶滅」生き延びるための処方箋 ジェレミー・リフキン氏 スペシャルインタビュー

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統治の方法としては、工業化の時代にスタンダードとなった代議制民主主義を見直し、「分散型ピア(対等者)政治」に道を譲る必要がある。

これは市民一人ひとりが統治の過程そのものの一部となるというものだ。地方自治体は市民に協力を求め、市民は「ピア議会」(ピア主導の能動的な市民議会)に参加して、自治体とともに働く。

経済社会理論家のジェレミー・リフキン氏(© 2010 Bloomberg Finance LP)

──経済や科学技術のあり方は。

進行しつつある第3次産業革命に期待している。第1次および第2次産業革命が、化石燃料を土台とし、多額の資本を必要とする中央集権型であったのに対して、第3次産業革命は分散型で流動的なプラットフォームによって成り立つ。

インターネットによってたくさんの人たちがお金をかけずにお互いにつながれるようになった。住宅の屋根には太陽光パネルが置かれ、市民が自分で使うためのエネルギーを生み出している。

GAFAが席巻した、第3次産業革命の第1世代は中央集権的な面が強いが、40年先にこうした企業が生き残れるかは未知数だ。

というのも、大量のデータであふれる社会においては、ありとあらゆる機器にセンサーが設置され、IoTという神経系を通じてデータをやり取りするようになるからだ。一部の企業がデータを独占することはできない。いちいち遠隔のデータセンターを介してやり取りしていたら立ちゆかないからだ。

大企業は新たに勃興する無数のハイテク中小企業と連携しなければ生き残りは難しい。

共感力が変革の原動力に

──ウクライナや中東など世界中に戦争が広がっています。アメリカでは2024年の大統領選で、ドナルド・トランプ氏が再び返り咲く可能性もあります。

地政学的な発想は時代遅れだ。

なぜならば、気候変動によって住み慣れた土地から離れざるをえない人たちが、たくさんの数に上るからだ。そこで重要なのが、先ほど述べたバイオリージョンの考え方であり、人間の持つ生命愛や他者への共感力だ。私は若い世代の人たちの行動力に期待している。

──日本の役割は。

新たな時代への先導役として、日本には期待している。日本には第3次産業革命に必要な技術的な要素の多くが備わっている。日本は水に囲まれた島国であり、水との付き合い方でも多くの知恵がある。人類が生き延びるために、日本には主導権を握ってほしい。

(聞き手:岡田広行)

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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