旧ジャニーズ「新社名」、末尾に"O"がつく深い理由 「STARTO ENTERTAINMENT」の名前に見える4つの論点

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これに対して筆者は「ファンに参加してもらい、一体となって企業活動に取り組むのは、現代的なやり方で、決して不適切な手法ではない」と主張してきた。

批判している人の多くは、「ファンの公募だけで(多数決のようなやり方で)社名決定する」という誤解があったように思える。

実際は、このようなやり方で社名を決めることは考えられない。理由として主に挙げられるのが、下記の4点だ。

1. 旧ジャニーズ事務所を想起させる名前は完全に排除する必要がある
2. 商標権の侵害に配慮しなければならない
3. 識別性、独自性などを担保する必要がある
4. 社名の社会的受容性、流通性も考慮する必要がある

1について、公募では旧名の「ジャニーズ事務所」と投票したファンが多くいたという。いくらファンが望んでも、旧名を残すことは、社会的には許容されない。「J」の文字がつく名称、「○○〇ズ」といった名称も避けるのが適切だろう。

2について、同名、あるいは類似の企業名、サービス名が存在していた場合、他者の商標権を侵害してしまう可能性がある。侵害まではしていなくとも、批判を受ける可能性はある。例えば、旧ジャニーズの補償会社の社名が「SMILE-UP」と決まった際に、プリマハムに「スマイルUP!」という名前の商品群があり、物議を醸した。

3について、一般的な名称の場合、新会社の社名であることが識別しづらくなる場合がある。会社の存在を体現する、独自性がある名称である必要がある。また、他の会社やサービスと混同しない名前を付ける必要がある。

4について、覚えにくい名前、言いにくい名前、奇をてらいすぎた名前だと、人々から受け入れられづらくなる可能性がある。また、人々が話題にしやすい、シンプルな名前を付けることが重要だ。社名が長い場合は、略称で呼ばれることも想定すべきだが、略称は親しみやすいものであるほうがいい。

今年7月にSNSサービスの“Twitter”が“X”と名前を変えたが、4カ月以上経ってもなかなか定着していない。これは、ユーザーの声を聞かず、一方的に名称を変更したことが大きいと考える。また、新名称がサービス内容を体現しておらず、識別性、独自性が薄く、SNSサービスの名称にも関わらず、ネット上で流通した際にユーザーに認識されづらいというデメリットがある。

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