柴田理恵さん「東京-富山」遠距離介護を決めた胸中 「介護をするうえで心がけている」大切なこと
母が元気な頃は、普通に家に帰って、普通に一緒にご飯を食べて、また嵐のように東京に戻る感じでしたけど、老いが進んだ今は、一緒に過ごす時間が宝物のように思えてきます。
もし、母と同居してずっとべったり介護をしていたら、「ああ、大変だ、つらい」と母に対して嫌な感情を抱いていたかもしれない。今のような気持ちのゆとりはなかった気がするんですよ。
親子がほどよい距離感で居られるためにも、遠距離介護を選んで良かったなと思います。
子どもからの本気の言葉は親の生きる力になる
――柴田さんは介護をするうえで心がけていることはありますか。
親に対してかける「言葉」です。「今日はなんだかいい顔してるね!」とか、「いつまでも元気で長生きしてね!」とか、ポジティブな言葉を投げかけるようにしています。
やっぱり、他人からいくら「元気になってくださいね」「大丈夫ですよ」と言われても、心に届きにくいと思うんですよ。
母もそうでしたが、とくにお年寄りの方は、「人に世話になりながら生きるのは申し訳ない」という気持ちが出てきやすいものです。
だから、私はいつも「お母さんは生きとってくれるだけで幸せだよ」「私、お母さんが死ぬのは嫌だもん。ずっと元気でいてほしい」と、はっきり言うようにしました。
すると、母が「そう?」と聞き返すので、「そうに決まっとる。さみしいから、絶対に先に私を置いていかんといて!」と強調すると、「わかった。置いていかんよ!」と力強く返事をしてくれるようになりました。
それ以来、母から「生きてて申し訳ない」という気持ちが減っていった気がします。
――子どもからの言葉は、親にとって「生きる力」になると。
絶対なります。「そんなことで?」と思われるかもしれないけど、それが一番大事なんです。
遠距離介護を始めて6年が経ちますが、家族にできることと、他者(医療や介護のプロ)にできることと、役割は別なんだとわかり始めました。
究極を言えば、親と長い時間、一緒に居なくてもいいし、身体介助もプロの方たちにお任せしていい。
だけど、言葉だけは本気で、面と向かって伝える。それが子どもにできる、何よりの親孝行なんじゃないかと気づいたのです。
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