柴田理恵さん「東京-富山」遠距離介護を決めた胸中 「介護をするうえで心がけている」大切なこと

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――要介護のお母さんの一人暮らしは心配も多かったのでは?

そうですね。なので、毎日実家に電話を入れるようにしていました。

とくに夏の時期は、熱中症が気がかりでした。たまたま母の家に遊びに来た方が、部屋に入った瞬間、「暑い!」とびっくりして。急いで冷房をつけてくれて、母にお水もたくさん飲ませてくれて、命拾いしたこともありました。

現在、母は入院生活を送っているんですけれど、後半のほうの一人暮らしは、だいぶ危ういこともありましたね。

親がどういう暮らしを望んでいるかが大事

――「高齢の親の一人暮らしは危ないから」と、施設への入居を望む家族も多いと聞きます。

その気持ちはよくわかります。ただ、一番大事なのは「親御さん自身がどんな暮らしを望んでいるか?」かなと。親御さんが「私は一人でいるのが不安だから、施設に入りたい」と望むなら、そうしてあげたらいいですし。

「どうしても家に居たい」という望みがあって、それが可能な状況なら叶えてあげるといいと思います。もちろん認知症の有無など、親御さんの身体の状況にもよると思いますが……。

母は「家に帰りたい」という気持ちが人一倍強かったので、尊重したいと思いました。ただ、リスクはあるので、本人に「夜中に何かあって、誰も気が付かずに死んでしまうこともあるかもしれんよ。それでもいいの?」と確認したんですね。そしたら、「それでいい」と。

「誰も助けてくれなくても化けて出んといてね」と念を押すと、「化けて出ません」と約束してくれたので、私も腹をくくりました。

柴田理恵(しばた・りえ)/女優。1959年、富山県生まれ。1984年に劇団「ワハハ本舗」を旗揚げ。舞台やドラマ、映画などで活躍する一方、明るく飾らない人柄で老若男女を問わず人気を集め、バラエティにも多数出演。著書に『遠距離介護の幸せなカタチ』(祥伝社)のほか、絵本『おかあさんありがとう』(ニコモ)などがある(撮影:今 祥雄)

――遠距離だけに大変なことも多いと思いますが、逆に良かったことはありますか。

うちの場合は、親戚のヒトシくんをはじめ、医療や介護のプロの方々に支えてもらっているからこそ、遠距離介護が成り立っているようなものです。

地元の方たちに支えてもらいながら、こうして自分の仕事を続けられていることがただただありがたいです。

東京から富山に行くまでの片道3時間は、確かに長い道のりですが、意外とその時間が私にはちょうどいいというか。その間にふっと心が落ち着いて、親のことを考えられるんですよね。

「小さい頃、母にこんなことしてもらったなぁ」と昔のことを思い出したり。「富山に着いたらお母さんにこの話をしてみよう」とあれこれ思いを巡らせたり。この3時間は、私にとって親に思いを馳せる、いい時間になっている気がします。

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