決断の時「選択肢は多い方がいい」と思う人の盲点 与えすぎることの弊害を解説、では最適な数は?

レゴを使った実験
私は初めて行った実験のことを、今もありありと覚えている。
スタンフォード大学の博士課程に進んで数カ月経ったころ、全米でも指折りの知名度と評価を誇る、ビング保育園で実験をすることに決めた。窓が1つだけの小さな教室を借り、中央にテーブルを設置して、いろいろなおもちゃを取りそろえた。子どもたちを1人ずつ部屋に招き入れて、彼らがレゴセットを組み立てる様子を観察し、やる気を計測するのがねらいだ。
当時多くの研究が、やる気を高めるために選択肢を与えることの重要性を示していた。私は実験の目玉として、鮮やかな原色のレゴセットをテーブルの真ん中に置き、周りにほかのおもちゃを並べた。
保育園の3、4歳児は、部屋に入ってくると、テーブルの上のレゴセットを見てにっこりし、それから周りのおもちゃを調べた。何分かそうしてから、席に着いた。そして、どの子どもも、レゴやほかのおもちゃを1つも手に取らずに、ただ窓の外をぼんやり眺めるのだった。
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