孫泰蔵「未来への準備をやめよ」と断言する理由 AI時代こそ大切になる「コンサマトリーな時間」
孫:おっしゃるとおりで、今のエピソードを取材で話すと、たいてい「ヤフーとの出会いが人生を変えた」という見出しをつけられちゃうのですが、本当はその手前の2年くらいの悶々期が、僕の中でエネルギーをためる準備期だったのだと思います。
ご存じのとおり、僕の兄は孫正義で、九州男児の父からはいろんなプレッシャーを受けてきて、僕なりに鬱屈とした思いを抱えていました。探究して出会った古代の教育改革者たちの人生を紐解いても、筆舌に尽くし難い悲劇的な経験をしている人は少なくないんです。だからこそ「こんなこと起きてたまるか!」と爆発するエネルギーが生まれて、時代を塗り替えていく。その繰り返しで人類はここまで進んできたんじゃないかと思います。
教育においても、答えをすぐに与えずに、興味のピークが最高潮になったところで「答えは教えない」と去っていくほうが、モヤモヤが最高潮になっていい。きっとそこから、自分で調べたり、何か作ってみたりする人が現れるでしょう。僕は学生向けの講演ではいつもそうしています。
「勉強するのは何のため?」ループから脱出せよ
佐宗:非常に納得できます。答えを鵜呑みにすることに慣れてしまうと、時代が間違った方向に進んだときにも気づきにくくなってしまいますからね。
孫:まさにそこが核心です。
佐宗:泰蔵さんが「現行の学校教育に興味がない」と言った理由がさらに理解できた気がします。
孫:「勉強するのは何のため?」「いい学校に入るため」「じゃ、いい学校に入るのは何のため?」「いい会社に入るため」「いい会社に入るのは何のため?「いい老後を迎えるため」と、永遠のループに入っていくのは不毛です。ずっと不安にむしばまれて生きないといけないですから。
佐宗:たしかに、常に満たされない状態が続きますよね。
孫:社会に出るための準備なんてクソくらえだ!と言いたいですね。
(構成:宮本 恵理子)
*この記事の前編:孫泰蔵「将来のため勉強せよと教えるのは問題」
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