75歳医師が「最初にたんぱく質」を勧める理由 空腹を感じにくくなり、メタボ予防にも効果的

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ただし、やみくもにたんぱく質をとっても、余分なものとして体の外に排出されてしまうだけ。

より効率的なたんぱく質のとり方があります。

その方法をお伝えする前に、「鎌田式フレイルチェック」で自分の筋肉の状態を確認してみましょう。若い方でも、筋肉が衰えていることを自覚できるかもしれません。

□ 立つときに「よいしょ」と言う
□ ペットボトルのふたがあけにくい
□ 以前に比べて疲れやすい
□ 前を歩く人を追い抜けない
□ 1年で体重が2~3㎏減った

1つでも当てはまったらプレフレイル、3つ以上当てはまったらフレイルの可能性が高い状態です。とくに、握力低下と肥満が同時進行している「サルコペニア肥満」の人は、認知症リスクが6倍も高まるという調査もあります(2022年順天堂大学の調査報告より。BMI〈体格指数〉が25以上の肥満、かつ握力が男性28kg、女性18kg未満の「サルコペニア肥満」の場合)。

「たんぱくファースト」がいい理由

食事のときに、最初に野菜を食べることを「べジファースト」といいます。

まず食物繊維をとることで糖の吸収をおさえ、血糖値の上昇を防ぐことができるし、食欲をおさえることもできるという考え方です。

ただし、鎌田式はちょっと違う。先に食物繊維をたっぷりとると、たんぱく質の吸収までおさえてしまうことがあります。

筋肉をつけたい人や、フレイルが気になるご高齢の方には、手放しではおすすめできません。

そこで提案したいのが「たんぱくファースト」。

肉や野菜を先に食べ、主食はその次(イラスト:『医師のぼくが50年かけてたどりついた 長生き食事術』)

食物繊維と同じように、たんぱく質にも血糖値の上昇をおさえる効果があることがわかっています。肉や魚などの主菜を先に食べ、そのときにサラダなどの副菜も一緒に食べれば、血糖値の上昇をおさえ、たんぱく質もしっかりとれます。

ごはんやパン、麺類などの主食を食べるのはそのあと。

これを「カーボラスト」といって、最近では「べジファースト」以上に大切だといわれるようになりました。「カーボ」=炭水化物(糖質)を最後に食べるから「カーボラスト」です。

血糖値は本来、ゆるやかに上下するが、急激に変化すると血管が傷ついたり、詰まりやすくなってしまう(イラスト:『医師のぼくが50年かけてたどりついた 長生き食事術』)

食後に血糖値が急上昇する「血糖値スパイク」は、血管を傷つけて、「慢性炎症」の原因にもなります。認知症には脳細胞の炎症が関係しているし、動脈硬化が進むと、脳の細胞へ血液が十分に届かずに脳機能がおとろえてきます。

「たんぱくファースト」で肉や魚を最初に食べ、「カーボラスト」で最後に主食。こうして食べる順番を変えるだけでも、さまざまな疾患を引き起こす血糖値スパイクの予防に。それが、健康な体をつくり、「元気に長生き」の秘訣です。

次ページ食べる順番を変えて血糖値をおさえる「たんぱくファースト」
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