デザイン思考の壁を突破する哲学シンキングとは 哲学はビジネスの場面で大いに活用できる

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私が起業した2017年には、すでに数多くの企業がデザイン思考を取り入れていました。しかし、同時に誤解も広まっていた時期でした。

デザイン思考は、デザイナーが暗黙裡に行っている思考とプロセスを、デザイナーではない人、とりわけビジネスパーソンができるようにメソッド化されたものです。デザイン思考を学び始めた一部の企業人は、そのとおりステップを踏めば「イノベーション」を起こせるだろうと思いました。つまり、デザイナーが斬新な視点や発想のもとに問題を解決できるように、デザイン思考を習得すればイノベーションを起こせると期待したのです。

その結果、さまざまな企業にデザイン思考を習得した「デザインシンカー」が所属することになったのですが、実際のところ、デザイン思考とは早く安価に失敗し、その失敗をもとに改善・問題解決していく思考だったのです。

デザイン思考が誤解されてきた

元来のデザイン思考はビジネスにおいて有益であるものの、日本企業に導入される際、それが誤解・形骸化されることでさまざまな問題が生じてきます。

ステップ1は、ユーザーやその周辺環境に対する「観察・共感」に始まりますが、ここにはユーザーの思いを調査し、把握することを重視する姿勢があります。しかしながら、ただユーザーの声に耳を傾けるだけでは表面的な成果しか得られませんし、まだ見ぬ未来の課題やイノベーションの種をユーザーがもっているとも限りません。

また、ステップを形式的に踏むだけでは、もともとの思考の限界を超える良質なインサイトや着眼点は出てきません。その場合、ステップ2の問題定義は平凡なものにとどまり、ステップ3でアイデアを出そうとしても、思考のフレームをはみ出る革新的なアイデアは出てこないでしょう。

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