苦戦続きだった百貨店アパレル、予想外の復調と前途

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今秋の失速回避へ 商品開発に傾注

ただし、今のままの勢いを持続できるかは未知数だ。「昨年秋からの節約ムードの緩和はあくまでも一時的なものにすぎない。10月以降、回復基調を持続することは難しい」と語るのは、アパレル業界に詳しいオチマーケティングオフィスの生地雅之氏。多くの客が、昨年秋から今年の夏にかけて春夏物と秋冬物をひととおり買いそろえてしまうため、需要が一巡し、再び減収トレンドへ戻る可能性が高いだろうと指摘する。

証券アナリストの間でも「今年後半には震災後の異様な高揚感が消え、所得をシビアにとらえるようになるだろう。特に中高価格ブランドは厳しくなる」(田中研究員)との見方も根強い。

もちろん、アパレル各社は手をこまぬいてはいられない。客を引き付けるため、秋冬の商品開発にかける意識は例年になく高い。三陽商会では発熱などの機能を持った素材を活用した商品を積極的に売り出す。オンワードも基幹ブランドで人気の高いブーツやストールといった雑貨を拡充しているほか、ニットとスカートなどのコーディネート販売を強化するなど、試行錯誤を続けている。

が、アパレル各社が本格的な復活を果たすには、過去のブランドを見直すなど大胆かつ新たな価値創造が欠かせない。巡ってきた好機を生かし、長いトンネルを抜け出せるか。真価を問われるのはこれからだ。

(鈴木良英 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2011年6月18日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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