小学生に暗記ばかりさせる親がもったいない理由 児童期の子どもに本当に必要なサポートとは

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これができるようになると、幼児の頃のように具体物を見たり触ったりしなくても、自分の頭の中だけで、さまざまなことを処理できるようになります。

「鳥って、だいたいこんな生き物だよね」と実物や写真を見なくても想像ができるし、実際にリンゴを持ってきて「1個、2個……」とやらなくてもそれ以上の数を想像できるようになります。抽象化力や想像力を駆使することで、最終的には、紙と鉛筆だけで計算できるようにもなっていきます。

「推論する心」が芽生え、論理的に考えられるようになる

抽象化力や想像力が育つと、ものごとの背景を「推論する心」も育ってきます。それ以前の乳幼児期の頃、特徴的なのは「吸収する心」でした。「吸収する心」とは、見たもの、聞いたものを、そのままコピーする能力のこと。この能力のおかげで、身近な人の言葉やしぐさを、まるで写真に撮るように、そっくりそのまま学び取れます。0~6歳の乳幼児期はこの能力が強いため、生まれ育った場所の言葉や文化、身近な人の動きなどを、たちどころに身につけ、生まれてきた世界に適応することができました。

しかし、6歳前後からこの能力は徐々に消えてゆき、「推論する心」が芽生えてきます。抽象化力や想像力の高まりとともに、ものごとの因果関係を推測しようとする心が育つのです。子どもの論理的思考力が強くなる時期と言えるでしょう。

このタイミングで、子どもの質問が「何?」から「なぜ?」に変化します。それまではリンゴを見て「これは何?」だった質問が、「なぜリンゴは秋になると赤くなるの?」と因果関係を問うようになるのです。

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