「君達もいずれ歳を取る」働かないおじさんの主張 反発の声は若手を優遇する経営陣に対しても
筆者が知るアメリカなど諸外国の経営者から、「中高年がちゃんと働いてくれない」「中高年の賃金が高すぎる」といった不満を聞いたことがありません。
なぜなら、諸外国ではジョブ型や成果主義が主流で、職務や成果で報酬が決まるからです。もし諸外国で中高年社員が働かなかったら、働きに見合う報酬に引き下げられるか、クビになります。働かない中高年社員が高給で会社に居座り続けることはありません。
また、諸外国では雇用の流動化が進んでおり、低賃金の企業には労働者が寄り付きません。企業が若い労働者を極端に安く雇うということもできないのです。
どうやら、「働かないおじさん」も「安月給で真面目に働く若い労働者」も、日本に特有の珍現象と言えそうです。
おじさん批判は経営者・人事部門にとって好都合?
ところで、いま団塊ジュニア(1971~1974年生まれ)が中年から高年になり、経営者・人事部門にとって、この世代の人件費負担をいかに軽減するかが課題になっています。
つい最近まで、役職定年や雇用再延長などを機に年収をいきなり半減させるという手荒なことが行われていました。しかし、訴訟リスクがあり、この常套手段を使いにくくなっています。
この悩ましい状況で、経営者・人事部門にとって、世間で吹き荒れるおじさん批判は非常に都合が良いのではないでしょうか。
中高年社員に対して、「お前たちは、世間からこんなにバッシングされているんだぞ。身の程を知れ」と待遇の引き下げを強く迫ることができます。
また、本来、いびつな賃金カーブを作った経営者・人事部門が「働かないおじさん」問題の真犯人なのですが、中高年社員がスケープゴートになって世間の批判を一身に受け止めてくれます。
もしかしたら、経営者・人事部門は、ヤフコメの「働かないおじさん」批判の投稿にほくそ笑みながら「いいね!」をクリックしているかもしれません……。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら