「君達もいずれ歳を取る」働かないおじさんの主張 反発の声は若手を優遇する経営陣に対しても

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多くの日本企業では、20代・30代は能力や成果と比べて賃金が安く、40代・50代は高いという賃金カーブです。若い頃は会社に対して“貸し”を作り、40歳過ぎから定年にかけて取り戻します。中高年社員は、“貸し”を取り戻しているだけで、現在の給料が不当に高いとは思っていません。

一方、若い人たちは、そういう賃金カーブや昔の事情を深く知りません。現時点の中高年社員を見て、「働いていないのに給料が高いのはズルい」と腹を立てています。両者の溝は、なかなか埋まりそうにありません。

なぜおじさん批判がエスカレートするのか?

ところで、今回の調査で、いくつか興味深い指摘を耳にしました。まず、「働かないおじさん」がクローズアップされている現状について、次のような指摘がありました。

「バブルの頃、『5時から男』って言葉が流行りましたよね。おじさんが働かないって大昔からのことなのに、どうして最近ここまでおじさん批判がヒートアップしているんでしょうか。不思議です」(建設)

「5時から男」というのは、タレントの高田純次さんが出演した栄養ドリンク「グロンサン」のTVCMから生まれた言葉で、職場では元気がないのに終業時間の5時になると元気になる社員という意味です。1988年の流行語大賞に選ばれました。

「5時から男」と「働かないおじさん」という2つの言葉が意味するところは、よく似ています。ただ、違いもあります。

「5時から男」は、5時から元気に遊び回るということで、職場外の行動に着目しています。一方、「働かないおじさん」は、職場内の行動を問題にしています。

また、「5時から男」では、高田純次さんの親しみあるキャラクターも相まって、若い世代を含む多くの国民が「しょうもない奴がいるなぁ」と笑っていました。一方、「働かないおじさん」では、若い世代が中高年社員を「許せない!」と強く憤っています。

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