できる上司は「正しい優先順位」を知っている ずるいけどできる、あの人と働きたい

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こんなふうに「かわいげのあるボス」になると、結構、得です。

“完璧さん”過ぎると、部下にとっては心理的な距離が遠くなってしまう部分もあります。身の回りのことなどの由無しごとについては、意外とそんなに完璧でない人のほうがかわいげがあって、部下との心理的距離も縮まるのです。

僕自身、過去に育てていただいた上司を思い返すと、もちろんパーフェクトな動きができる諸先輩からも学ばせていただけましたが、自分がいちばんレベルアップできたときの上司は、「俺、ここら辺が苦手だから、井上、やっておいてくれよ」という委譲型のボスでした。

一般的に皆さん、完璧なボスを求めますが、自分にとっては完璧ボスよりも、どこかに苦手な部分や抜けている(失礼!)部分の多い不完全ボスのほうが、自身の成長チャンスという観点からはラッキーだと思いますよ。

「部下から搾取しない」のは大前提

前回記事と今回とで、上司として、どう割りを食わずにうまくチームを回していくかについて、そのアプローチをご紹介いたしました(近著『ずるい上司マネジメント』ではこうしたケースを満載しております。ぜひさらに詳しく知りたいという方はご一読ください)が、そもそもの本筋として、「それは決して、部下たちを搾取したり虐げたりしたいわけではない」ということが、実は最も大事な部分だといえます。

一見、ずるく仕事を「振り逃げ」しているように見えても、それは部下に任せることでの成長機会の創出であったり、実績を積むチャンスの提供であったりするわけです。ズルく甘えて部下に助けてもらったりするのも、彼らの自己重要感を高めるためであったり、お互いの関係性や緊密性を高めるための施策であったり、彼らが自分で考えるアタマを養成するためであったりします。

つまり、根底には部下である彼らの育成・成長・抜擢を願っての気持ちが脈々と流れています。また、形式張ったり肩肘張りすぎることのない、生身の人としての上司のあなたの姿を見せることで、親近感や信頼の獲得ができるのです。

そんなあなたの考えや行動は、知らずしらずのうちに、部下たちの間に浸透していくことになります。それが、早晩、「なんだ、◯◯さん、ほんとズルいよなぁ!」(=「一見ずるく見えるけど、僕たち・私たちのことをちゃんと見ていて、考えてくれていて、いやらしくなくチャンスをくれたり支援をしてくれる」「◯◯さんに頼まれちゃうと、やらざるをえないよね。憎めないよね!」)となるのです。

私たち上司が楽しく、生き生きとやりがいをもって働くことは、間違いなく部下も会社もハッピーにし、家族や恋人、友人にとっても楽しく生活する起爆剤となります。そして結果的には、日本の社会も元気になることへとつながっていきます。私たちが元気に生き生きと働くことの責任は、あなたが日頃思っている以上に重大なのです。

そして、もう一度、それが上司である私たちの社会人人生を、実り多きものにしてくれるのですから、ぜひとも、「ずるいマネジメント」を戦略的に導入・活用し、メンバー個々人もチーム全体もムードアップし、エネルギーを爆発させるようリーダーシップを発揮ください。

上司人生を寂しいものには、したくないですよね!

井上 和幸 株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO

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いのうえ かずゆき

1989年早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。人事部門、広報室、新規事業立ち上げを経て、2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年より株式会社リクルート・エックス(2006年に社名変更、現・リクルートエグゼクティブエージェント)。エグゼクティブコンサルタント、事業企画室長を経て、マネージングディレクターに就任。2010年2月に株式会社 経営者JPを設立(2010年4月創業)、代表取締役社長・CEOに就任。多くの経営者の人材・組織戦略顧問を務める。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。
クライアント企業・個人の個々の状況を的確に捉えたスピーディなコンサルティングに定評がある。自ら8000名超の経営者・経営幹部と対面してきた実績・実体験に基づき、実例・実践例から導き出された公式を、論理的にわかりやすく伝え、幅広い業種・規模のクライアントから好評を得ている。
著書に著書に『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『あたりまえだけどなかなかできない 係長・主任のルール』(明日香出版社)など。各種メディア出演多数。

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