ゼンショー「最大500億円増資」で破竹の勢い続くか 日本初の外食ジャイアントの海外戦略とは?

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新株式発行による資金のプール

そして、この流れのなかで発表されたのが、ゼンショーホールディングスの「新株式発行及び株式売出しに関するお知らせ」だ。実に、これからも積極的なM&Aを仕掛けていく姿勢が見れてすがすがしい。

ポイントでいうと、次のとおりだ。

・約522万株の公募による新株式発行を行う(なお同時に株式売出しも実施)
・一般募集および第三者割当増資により集まる予定金額は499億970万円
・全額をM&A待機資金とする

すき家で培ったオペレーションの卓越さを他ブランドでも展開。それを、さらに海外を含むM&Aにも拡張することで、さらに業態を拡大させる。この戦略は2030年までの7年間ほど継続され、たしかに、その姿勢はぶれているところはない。

とくに冒頭で紹介した通りに、決算が好調で、将来の見通しを示す株価も高いタイミングだ。海外を含むM&Aの待機資金という目的も明確な新株発行だ。市場も、そこに違和感がないだろう。

なお個人的な話だが、私は先日、地方の飲食店経営者から、コロナ禍におけるゼロゼロ融資(実質無利子・無担保)の返済期間が到来して困っている、という話を聞いたばかりだった。

もちろん地方でも元気なローカル店舗は多いと思う。しかも、たった数例からマクロを語るわけにはいかない。ただし私には、地方飲食店=日本ローカル、と、ゼンショー=グローバルの不調と好調の状況が、明暗のような、あざやかな対比に感じられた。

逆にいえば、日本で培ったオペレーションや食材・メニュー開発、さらには日本特有のこまやかさを最大限に生かそうと思えば、グローバルへの道に進むしかないと思われる。

ゼンショーホールディングスには、さまざまな批判もあるかもしれないが、私は日本初の外食ジャイアントの先人として応援したい。

坂口 孝則 未来調達研究所

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さかぐち・たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒。電機メーカーや自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の分析が専門。代表的な著作に「調達・購買の教科書」「調達力・購買力の基礎を身につける本」(日刊工業新聞社)、「営業と詐欺のあいだ」(幻冬舎)等がある。最新著は「買い負ける日本」(幻冬舎)。

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