「30代部下から否定された」50代管理職の強い絶望 指摘された時に、どう対応すればよかったのか
Aさんは「リスク管理を甘くみている。長年、やってきたことには意味があり、手順を変えるのはそんなに簡単なことではない」と考えていたため、意見を聞くだけに徹していました。
しかし、30代の部下だけでなく、ほかの部下からも同じことを言われることが続き、ストレスが溜まっていたため、ついに強い口調で「そんなに甘いもんじゃないんだよ!」と怒鳴ってしまったということでした。
この状況は一見、遠慮せずに意見を言う若手と、管理職とのジェネレーションギャップからくる対立のように見えるかもしれません。
しかし、相手から自分とは異なる意見を言われたとき、すんなりと受け止められる人もいるのに対して、なぜ、Aさんは自分を否定されたような気持ちになってしまったのか。
そこを明らかにしなければ、Aさんのストレスは溜まる一方で、今度はもっと強い言葉を部下にぶつけてしまいかねません。
Aさんとのカウンセリングを通じて明らかになったのは、Aさんの根本にある「不安」でした。
根底にある不安と強い承認欲求
クライアントさんには、カウンセリングの初めにこれまでの生い立ちや家族関係を一通りお聞きしています。Aさんからは父親がとても厳しかったこと、勉強を頑張って高校も大学も目標の学校に合格したことなどをすでに聞いていました。
カウンセリングを重ね、Aさんとの信頼関係も築けてきたこともあり、ある日のカウンセリングで私は「子どもの頃の思い出や経験が何か影響していますか?」と質問しました。
Aさんのように相手に異なる意見を言われたとき、自分が否定されたような気持ちになってしまうのは、強い承認欲求が影響していることが多いからです。それは子ども時代や親との関係が原因の1つであることが少なくありません。
父親からは「褒められた記憶がない」とAさん。できたことに対しては何も言ってもらえないけれど、できなかったことに対しては厳しく言われたそうです。私も思わず「それはショックでしたね……」と言ってしまったエピソードが、小学校の発表会で大失敗をしてしまい、みんなの前で恥ずかしい思いをしただけでなく、帰宅後は父親から罵倒されたというものです。
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