岸田首相が開けた政権崩壊への「パンドラの箱」 「財務・検察離反」や「池田氏死去」で大ピンチ

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こうした現状は「党内の岸田包囲網の広がり」(岸田派幹部)だが、その最中の池田大作氏の死去も岸田政権を揺さぶる要因となった。創価学会は18日、「池田氏が15日夜に新宿区の居宅で老衰のため亡くなった」と発表したが、この18日は創価学会の創立記念日でもあり、機関紙の聖教新聞はお祝いムードの報道があふれていただけに、SNSを中心に違和感を指摘する声が相次いだからだ。

これに対し、学会関係者は「創立記念日にわざわざ訃報を伝えることは学会側にメリットがなく、意図的に発表を3日待ったということはありえない」とし、学会の内部では池田氏の存在がすでに過去の人になっていることをにじませた。

池田氏死去で「自公協力弱体化」も

ただ、池田氏の訃報を受けて岸田首相が19日夜、東京都新宿区の創価学会本部を自民党総裁として弔問し、原田稔会長や池田氏の長男、博正主任副会長と面会したことも、波紋を広げた。SNS上では憲法が定める政教分離と絡めて疑問視する意見が相次ぎ、松野官房長官が20日の記者会見で「個人としての弔意で問題はない」と釈明する事態となった。

こうした状況を予測したかのように、21日発売の週刊文春は「池田大作(創価学会名誉会長)“怪物”の正体」という特集記事を掲載。その中で「公明票への影響は『マイナス200万票』の衝撃」としたことも政権を揺さぶった。

そもそも、直近の国政選挙での公明党の得票は最盛期の約3割減ともなる600万票余まで落ち込んでいる。それがさらに200万票も減るとなれば「自公選挙協力の弱体化を露呈する」ことは明らかだ。特に、「平和を訴え続けた池田氏に共鳴した学会員たちが、自民党の保守・右傾化に愛想をつかして投票に行かなければ、首都圏などの自民党候補はバタバタと落選する」(自民選対)という事態を招きかねない。

こうした状況にもかかわらず、岸田首相自身は首脳外交に勤しみ、政権批判にもあえて笑顔を絶やさず「どうする文雄」どころか「とにかく明るい岸田」を演じ続け、この「ミスマッチ」がさらに岸田首相への国民的不信を増幅させるという悪循環に陥っている。

ここにきて永田町では、「解散権を奪われたかにみえる岸田首相が、やけくそでの『七夕選挙』を狙っている」との臆測も飛び交う。「まさに、年末以降の政局は、何でもありの出たとこ勝負」(自民長老)になりつつあるわけだが、「こうした自民内の闇試合が、さらに国民の政治不信をかき立てる」(同)ことだけは間違いなさそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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