岸田首相が開けた政権崩壊への「パンドラの箱」 「財務・検察離反」や「池田氏死去」で大ピンチ

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これに対し岸田首相は「岸田派の政治資金収支報告書の訂正」を認めるなど、防戦一方となり、野党側は「閣僚の中に収支報告の責任者となる派閥の事務総長や経験者がいる」として茂木派事務総長の新藤義孝経済再生担当相、安倍派の元事務総長の松野博一官房長官と西村康稔経済産業相に対して「会計担当者から相談を受けているかどうか」などをただしたが、新藤、松野、西村3氏は「政府にいる立場としてお答えは控える」の一点張りでかわした。

これに怒りを隠せない立憲民主は、22日午前の衆院予算委前の理事会で激しく抵抗、野党側が不記載の金額などを明示するよう要求したが、自民は拒否し、結局、岸田首相が委員会の冒頭に発言することで折り合った。これを受け岸田首相は各派で政治資金収支報告書の訂正をしていると強調した上で、「適切に説明を速やかに行ってもらうよう茂木敏充幹事長に指示した」と答弁したが、野党側はなお追及を続ける構えだ。

与党内には今回の検察当局の動きについて「早期の政権崩壊を見越して、検察が独自に動き出した。減税の原資は赤字国債だと主張した財務省も合わせて、明らかに政権離反の動きにみえる」(公明党幹部)との指摘も出ており、官邸サイドも深刻さを隠せない。

意気盛んな高市氏、菅・二階両氏もうごめく

そうした中、民放テレビ番組などで次期総裁選について「戦わせていただく」と明言している高市経済安保相は、15日に自らの勉強会の初会合を行って党内から批判された。しかし高市氏は19日に自身のX(旧ツイッター)を更新し、「現職閣僚が担務外の政策を同僚議員と一緒に勉強する事の何が悪いのか、意味が分からん」などと反論するなど意気盛んだ。

この高市氏の動きと連動するように、菅義偉前首相と二階俊博元幹事長も9日に森山総務会長を交えて密談。二階派関係者によるとこの席で二階氏は「手のひらをひっくり返す素振りを見せながら『徹底的にやるぞ』とうそぶいた」とされる。

さらに菅氏もこの席で首相批判を繰り返したうえで、各世論調査でポスト岸田候補の上位に並ぶ石破茂元幹事長、河野太郎行革担当相、小泉進次郎元環境相のいわゆる「小石河連合」との連携もほのめかしたといわれる。

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