岸田首相「増税メガネ」大喜利から脱出への正念場 世耕氏は首相批判も翌日には一転「評価」

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岸田文雄首相(写真:時事)

岸田文雄首相の所信表明演説に対する各党代表質問で、自民党の世耕弘成参院幹事長が「『決断』や『言葉』に弱さを感じる」などと批判したことが、政界だけでなく国民の間でも物議をかもした。野党陣営が「よく言った」と拍手したのに対し、与党は世耕氏の過去の言動もからめて「お前が言うか」(自民長老)などの揶揄や反発が相次いだ。

当の岸田首相は、思わぬ身内の“口撃”にまともには反応せずにスルーしたが、表情には「怒り」をにじませた。これを恐れてか、世耕氏は翌日の岸田首相の減税表明を高く評価するなど態度を一変。この“腰砕け”振りに与党内からは「あざといパフォーマンスだけの“腰抜けメガネ”」(閣僚経験者)などと揶揄する声が広がり、「“世耕の乱”は1日で終わり」(同)となった。

10月20日に召集された臨時国会は、岸田首相の所信表明演説が召集日から23日にずれ込み、これに対する各党代表質問も間隔なしの24日から3日間という、「過去に例のない日程」(自民国対)に。その最中の25日午前の参院代表質問の中で飛び出したのが、世耕氏の「首相批判」だった。

「リーダーの姿、示せていない」と“口撃”

世耕氏は参院幹事長という自民党最高幹部として代表質問で、「国民が期待するリーダーの姿を示せていない」と指摘。岸田首相の「税収増を国民に還元する」との宣言について、「給付か減税か、その両方なのか、まったく伝わらない、重要局面では、政治家としての言葉で発信していただきたい」などと厳しく批判した。

岸田首相は苦笑しながら聞いていたが、答弁では「これまでも自ら決断し、国民の皆さんに直接発信することを心がけてきた」「(批判を)つねに省みつつ有言実行を貫いていきたい」などと、不敵な笑みも浮かべつつあえて反論せず、淡々と答弁メモを読むことで批判を受け流した。

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