岸田首相｢増税メガネ｣大喜利から脱出への正念場 世耕氏は首相批判も翌日には一転｢評価｣

ただ周辺はその後、「本人は相当頭に来ていたようだ」と漏らした。というのも、岸田首相と世耕氏は10月13日夜に、都内のステーキハウスで2人だけで2時間半も懇談。しかも世耕氏はその後、岸田首相の考えを先取りする形で「減税論」をぶち上げたこともあって、岸田首相も「世耕氏だけには言われたくないと怒り心頭だった」（側近）とされる。

こうした岸田首相に“忖度”したように、世耕氏は岸田首相が翌26日に所得税の減税を含めた経済対策の検討を与党幹部に指示するとすぐさま「評価したい」と態度を一変。27日の記者会見では、国会での質問後に「岸田首相に直接『エールを送る趣旨だった』と伝えた」ことを明らかにした。

こうした世耕氏の「カメレオンのような態度」（岸田派幹部）について自民党内からは「『所得税減税』をぶち上げたり『給付』を言ってみたり、減税時期をフライングで言ってしまう人物。代表質問も、その目立ちたがりの延長だっただけ」（国対幹部）と冷笑する声が噴出。

インターネット上でも「国会での発言を裏で謝罪するとは情けない政治家」「腰抜けメガネが増税メガネ一派に屈する」「謝罪するならしゃべるな」などの書き込みがあふれた。

「増税メガネ」から「減税ウソメガネ」に

こうして「世耕発言で妙な形で盛り上がった代表質問」（自民国対）は26日に終わり、27日からは衆院予算委員会で基本的質疑（30日との2日間）がスタート。早速、立憲民主党の長妻昭政調会長が岸田首相に「増税メガネと呼ばれるのを気にするあまり、減税に走ったと言われているが、増税メガネという言葉は気になりますか」と質問。岸田首相は「いろいろな呼び方があるものだなと思っている」と苦笑交じりで交わす場面もあった。

そうした中、岸田首相が決断した①来年6月に1人当たり4万円の定額減税を実施②非課税など低所得者世帯には7万円を給付――などとする「税収増の還元策」には、国民の間でも「働く世代に不平等なバラマキ」などの批判が渦巻く。