内閣支持率は30%を切ったが、政権交代の可能性は低い。自民党内での疑似政権交代の有無が焦点だ。
11月に入っても、岸田文雄内閣の支持率の低下が止まらない。共同通信社の調査では前回よりも4.0ポイント減の28.3%、JNNの調査では10.5ポイント減の29.1%であった。各社で調査法が異なるため一概にはいえないが、通常30%を割り込むと危険水域に入ったと見なされる。
低下の大きな原因になっているのは、新たな経済対策に所得税減税を盛り込んだことである。共同通信の調査では、今回の所得税減税を評価しないという回答が62.5%に上った。
岸田首相は増税イメージを払拭したかったのであろうが、防衛費や少子化対策予算を大幅に増額した以上、結局は増税に踏み切らざるをえないと、有権者は見透かしている。選挙目当てという批判も根強く存在する。
しかも岸田首相にとって深刻なのは、自民党内の反対論に耳を傾けず、所得税減税を自らのトップダウンで決めてしまったことである。
自民党内での動き
昨年の秋から冬にかけて内閣支持率が低下した主たる原因は、旧統一教会をめぐる問題であった。岸田首相自身はほとんど無関係であり、自民党の問題と見なされた。しかし、今回の内閣支持率の低下はいわばオウンゴールであり、その結果、自民党内の求心力が著しく低下している。
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