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「解散できない首相」の岸田氏に残された道は 再選を狙う次の自民党総裁選まで9カ月余り

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衆議院解散作戦が再び不発に終わった岸田首相。再選を狙う来秋の自民党総裁選までに何ができるか。

11月13日の神田財務副大臣の辞任後、記者団の取材に応じた岸田首相は「国民へのお詫び」を述べた(写真:時事)

11月9日、岸田文雄首相が年内の衆議院解散を見送る意向というニュースが一斉に流れた。予測報道ではない。「見送りですか」という記者団の質問に、「まずは経済対策。それ以外のことは考えていない」と答えた。「解散風、のち不発」の迷走を演じたのは、通常国会会期末の6月15日に続いて、5カ月で2度目だ。

衆議院の解散権は首相の「伝家の宝刀」といわれる。天皇の国事行為(憲法第7条)について「助言と承認」の権能を持つ内閣の特権という解釈が定着している。

宝刀の使い方では、2人の元首相の発言が印象深い。7年8カ月在任の佐藤栄作元首相の語録に、「首相の権力は内閣改造をやるほど下がり、衆議院解散をやるほど上がる」という言葉がある。もう1人、在任中、衆参選挙5連勝を記録した安倍晋三元首相は、退任後の取材で、「自民党総裁は選挙次第。衆参の選挙に負けなければ大丈夫」と笑いながら語った。

改造人事は、政権強化や人気浮揚を企図しながら、実際には裏目に出るケースも珍しくない。

解散作戦不発は政権寿命にも影響か

岸田首相も佐藤、安倍の両氏の教示を胸に刻んでいるはずだ。事実上の任期満了選挙だった2021年10月の総選挙に続いて、2度目の解散が実現すれば、実質的に初の解散権行使となる。総選挙に勝利すれば、最大の目標である24年9月の自民党総裁選での再選が確実になると考え、総裁選前の解散に意欲を燃やしたのは疑いない。

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