肝機能の検査値、今は「ガンマGTP」だけ見てもダメ 肥満や糖尿病で生じる肝臓病が新たな問題に
要するに、「肝臓を守るには、肥満や糖尿病を予防する、あるいはしっかり治して体重や血糖値が適切な状態を維持していくということが肝心」ということだ。
その医学的な根拠はどこにあるのかというと、今から、約10年あまり前にさかのぼる。
日本肝臓学会と日本糖尿病学会が2012年に合同委員会を設置して、糖尿病とがんの罹患リスク調査を開始した。糖尿病と肝がんを含めた肝臓病との関連性を、エビデンス(科学的根拠)で示そうという取り組みだった。
その後、両学会は2021年5月、合同委員会での研究結果を報告書にまとめた。
報告書には、糖尿病罹患によるすべてのがんの罹患リスクは1.2倍になり、臓器別では肝がんが1.97倍、膵がんが1.85倍、大腸がんが1.4倍の順にリスクが高かったとした。また、近年はウイルス性肝炎を合併しない肝がんが急増しており、その背景には肥満・糖尿病患者の増加があると結論付けた。
18センチの肝がんを発見
肝がんは血液検査で異常値が出てくるのも遅く、早期発見が難しい。
髙見氏が遭遇した過去最大の肝がんは、18センチにも及んでいたという。ただ、さいわいこの患者さんは肝がんの場所や肝機能の状態が良かった。おかげでそれくらいの大きさでも切除ができたうえ、その後の経過も良好とのことだ。
だが、一般的にいうと肝がんは外科的手術で切除しても再発率が高く、1年で約3割、5年で約7割が、肝臓のほかの場所に局所再発するといわれる。それは多くの場合、肝硬変を経て肝がんになるので、肝臓全体がダメージを受けているためだ。10年生存率を見てみても、5年後以降も下がり続ける傾向にある。
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