専門医が教える「肝臓にまつわるウソ」と新常識 脂肪肝、アルコール…SNSで蔓延するウソホント

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世の中で肝臓に関して言われていることには勘違いも多いようです(写真:MikeSaran/PIXTA)
知り合いが肝炎や肝臓がんになったと聞いたとき、これといった根拠もなく、「ああ、お酒を飲みすぎたんだな」と思ったことはありませんか。昔から、お酒が好きな人は肝臓を悪くすると言われてきました。しかし、いま、肝臓治療の現場では、普段はお酒を飲まないという患者さんが増えています。
肝臓にダメージを与えるのはアルコールだけではありません。私たちは毎日、肝臓を酷使しています。肝臓は、栄養を蓄えたり、エネルギーに変えたり、有害物質を排出したりしています。これを「肝機能」といいます。肝臓は、私たちが生きていくうえで不可欠な臓器なのですが、残念ながら、肝臓に関する正しい情報は世間に浸透していないようです。
ここでは肝臓に関してよく言われている勘違いを、肝臓専門医の浅部伸一先生の近著『長生きしたけりゃ肝機能を高めなさい』から引用・再編集して紹介します。

「脂肪肝」に関する誤解

肝臓の常識のウソ① 脂肪肝の原因は脂の摂り過ぎ?

「脂肪肝」と聞くと、病名に「脂肪」が入っているためか、食事での「肉の脂身や食用油の摂りすぎ」が原因だと思っている人が多いようです。これは誤解です。脂肪や油の摂りすぎが脂肪肝の主な原因ではありません。

食べた肉の脂身や食用油に含まれた脂肪で肝臓まで入ってくるのは、肝臓に蓄積される全脂肪の15%ぐらいです。食事で摂る脂肪の占める割合は大したことありません。だから、「トンカツは大きな脂身を切り落としたうえで、揚げずに焼く」「パンにはバターは控えてジャムを塗る」など、気をつかっても、あまり意味はないといえるでしょう。

脂肪肝の原因になる食材は、脂肪だけではありません。「糖質」も脂肪肝の原因になります。糖質は体の中に取り込まれると、ブドウ糖という形に変わって体内の細胞に取り込まれます。ブドウ糖は、肝臓の代謝機能によってグリコーゲンという物質に作り変えられ、肝臓と筋肉に貯蔵されます。

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