「入寮してからすぐ、上級生から1年生が呼ばれて、挨拶の練習をさせられたんです。『足を90度直角に揃えて、大声でこんにちは!って言いながら挨拶しろ』と言われまして……。
この時点ですでにヤバいなと思っていたんですが、入学式の日の朝から3日間、朝5時45分に起こされて、上級生が怒鳴り狂う中で6時から1時間掃除をやらされる日が続いたんです。それからも月1で深夜に呼び出されて怒鳴られる日々が続きました。家が遠いから退寮もできず、結局5年間この寮から学校に通いました」
今までの環境と180度違う異質な場所での生活を余儀なくされた水無月さんは、精神面と戦いながら学校生活を送ることになります。
「クラスごとに席次が出る学校で、成績は5年間、40人のうち20~25位の間をさまよっていました。授業は1年生から3年生までは普通科の内容とそんなに変わらないと思いますが、1年のときに物理基礎と化学基礎をやり、2年までに物理と化学の範囲をほとんど終えるというように進度が早く、普通校と比べると1年前倒しで授業が進んでいたと思います」
学校での授業時間以外はベッドの上にいて、Twitterでずっとつぶやいていたと語る水無月さん。
「講義を真面目に聞いたことは全然なかったです。講義中やベッドの中でもずっとスマホを開いていました。高専入学から卒業まで45万ツイートほどしたので、1日に約300回も呟くほどTwitterばかりしていました」
アルバイトで大学進学を志す
そんな彼が大学に行きたいと思ったきっかけは、寮の環境から脱出するということもあったようですが、大きなきっかけとなったのが飲食店でのアルバイトの経験だったそうです。
「高1のときから、ぼんやり大学に行こうとは思っていたのですが、3年生のときに始めた接客業がうまくいかなかったことで真面目に進路について考えるようになりました。僕は朝早く起きるのが苦手な人間なので、早朝にフラフラの状態でバイトに行ってはコミュニケーションで失敗したり、ミスをしたりしていました。
そうした挫折経験から、高専から就職できるような企業だと、自分に合うような仕事ができないんじゃないか、すぐにやめてしまうんじゃないかと考えたんです。だから、大学に行くことで専門性の高い仕事に就けるようにして、フレックスタイムやテレワークなど将来の働き方も選べるようにしたいと思いました」
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