「実は学寮の環境のストレスが受験期に重なって、この1年は精神状態がかなり悪化していたんです。期間的には人よりも長く受験勉強をしましたが、それでも東大や京大の試験に落ちた時点で、もっとやれたなと思ったんです。
高専は進路が決まらないまま卒業する人がほぼいない学校なので、『浪人』という概念がそもそもありません。だから、後悔をしたくなかったので、先生に伝えたときは驚いていましたが、筑波大学で仮面浪人をしようと思いました」
「勉強量の不足や、体調管理・精神状態の管理の甘さ」で落ちた自分を責めた水無月さん。その後悔を払拭するために、もう一度東大・京大を受験しようと決意しました。
筑波大学に進むことが決まった5年生の秋〜冬にかけての水無月さんは、卒業研究と英語の勉強を並行して行い、TOEICで745点を取得したそうです。
そして、高専を卒業してから4月に筑波大学への編入学が予定されていた水無月さん。
しかし、ちょうどこの年は歴史的なパンデミック、新型コロナウイルスが世界中に蔓延します。
筑波の授業を受けながら京大を目指す
例年4月から始まる筑波大学の授業が1カ月遅れ、それ以降もオンライン授業で行われることを知った水無月さん。時を同じくして、ようやく寮から脱出したこともあり、体調が回復してきた彼は、少しずつ勉強ができる環境が整ったそうです。
「寮にいた頃は1週間で勉強時間がゼロのときもありました。でも、筑波大学に入ってからはオンラインで授業を受け、課題をこなし、それが終わってから参考書をやるサイクルができました。課題が終わった夜9時ごろから深夜1時くらいまで、現役のときに使っていた参考書を使って勉強していましたね」
彼はこうして慌ただしい日々を送りながら、東京大学の編入試験日である6月28日と京都大学の編入試験日である8月25日、26日に向けて勉強を進めていました。しかし、先に落ちた東京大学では残念ながら力を発揮できずに落ちてしまったそうです。
「この年の筑波大学では4月の休みを取り戻すために土曜授業がありました。東大の試験前日にも授業がありましたし、さらに29日からは期末試験があるというスケジュールでした。東大は6割取れたら合格と言われているんですが、そのようなスケジュールの中ではあまりやる気が起きず、前年度とほぼ点数が変わらず5割くらいしか取れなくて、落ちてしまったんです」
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