林前外相、中国設置のEEZ内ブイ「日本が撤去も」 国際法には「やってはいけない」と書いてない

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林芳正氏(前外相):専門家同士で議論をすることは、処理水を放出する前から、われわれはずっと中国側に持ちかけていた。向こうは「いや、いや」ということだった。今回そこに中国が寄ってきたのは非常に大きな一歩だ。国際機関というのはおそらくIAEA(国際原子力機関)のことだと思うが、オプションとしてはあり得る。しっかり専門家同士で話すことがポイントだ。

(写真:FNNプライムオンライン)

1年ぶりの日中首脳会談、予定時間延長も

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):今回の日中首脳会談は予定より20分オーバーした。日中それぞれ関係改善をしたいという思惑もあったのだと思うが、会談の成果をどう見ているか。

小川淳也氏(立憲民主党 前政調会長):残念ながら具体的で即効性のある成果は乏しかった。対面、顔を合わせてコミュニケーションをとることは継続的にやるべきで、日中首脳が果たすべき最低限の役割、責任だ。そんなに短兵急な成果を求めずに継続的に顔を合わせて話すことを求めたい。

橋下徹氏(番組コメンテーター・弁護士・元大阪府知事):処理水の問題については中国に決定権を渡すというのはおかしな話になるが、国際機関主導で専門家に入ってもらうということであれば、次に何か懸案事項が日中間で生じた時に同じようなことを言える。中国サイドに何か日本が懸念する問題が生じた場合には、中国の専門家だけで議論するのではなく日本の専門家も入れてくれということも言える。これはきちんとしたフェアなルールとしてまとめたらいいと思う。

小川氏:WTO(世界貿易機関)に提訴するという正当な道筋もある。かつてレアアースの禁輸で勝訴した経験もある。これは科学的なアプローチというよりは、中国の政治的な圧力であり、かつて、例えば、オーストラリアがコロナウイルスの起源を調査しろと言った時に中国は牛肉やワインの禁輸に踏み切った。中国の反体制活動家がノーベル平和賞を受けたらノルウェー・サーモンの禁輸に踏み切った。それと同列だ。挙げたこぶしをどうやって下ろしてもらうか、政治的にそのプロセスをお手伝いするというぐらいの話だと受け止めた方がいい。

(写真:FNNプライムオンライン)

松山キャスター:中国のメンツをどう保つかという部分も外交の一つ。

小川氏:だと思う。相互利益をきちんと確保するということだ。

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