「認知機能の低下」訴えるアメリカ人が増えた理由 原因はおそらくコロナ後遺症による脳損傷
国勢調査では毎月の人口動態調査の中で、サンプルとなるアメリカ人に記憶力や集中力に深刻な問題があるかどうかを訊いている。この質問、または日常の活動での制約に関するほかの5つの質問のいずれかに「はい」と答えた場合には障害者と定義される。質問は障害者手当の申請とは無関係なので、どの回答を選んでも回答者に金銭的なメリットはない。
長期コロナの典型症状と一致
2020年初めの調査では、何らかの障害を持つ18〜64歳のアメリカ人は1500万人に満たないと推定されていた。それが2023年9月までに約1650万人に増加した。
増加分のおよそ3分の2は、考えることが困難になったと新たに報告した人々によって占められている。国勢調査の推計ではさらに、視覚障害や基本的な用事をすませることに著しい困難を覚える成人の数も増えている。
労働年齢のアメリカ人のうち比較的高齢な人々については、何年にもわたって報告されていた障害者率の減少がパンデミックによって終わりを迎えることとなった。
認知問題の増加は、長期コロナ感染症の患者に見られる共通の症状と一致する。「ブレインフォグ」(頭の中に霧がかかったようになる症状)だ。
ベイエリアに住む30歳のソフトウェアエンジニア、エマニュエル・アギーレさんは2020年末に新型コロナ感染症を発症。ひと月とたたずに、彼の人生は一変したという。「ずっと二日酔いで、酔ってハイになって、脳が一気にフリーズしたような感覚だった」。
アギーレさんはデートもビデオゲームも読書もやめたが、リモートワークでなんとか仕事を続けている。身体的な症状のいくつかはしだいに和らいだものの、ブレインフォグはなかなか消えず、ときに消えることがあっても、数日後には激しく舞い戻ってきた。