鬼越トマホークが「会社の忘年会で大人気」のワケ 実は社内イベント等企業案件で引き合いが多い
――そこでウケるためには、芸人さんの話術や、頭の回転の速さ、場の空気を読む力が必要ですが、それ以上に企業や人に対してのマーケティング的な情報収集が欠かせないのではないでしょうか。
坂井:社長をいじってウケないと地獄ですから、アドリブのように見せていますけど、しっかり準備はしています。
まずネットでその業界の成り立ちや、市場動向、会社の業績、ライバル会社を調べて。それから社内を知るために社員さんにアンケートを取ります。そこから、笑いにつながるポイントをつかみます。社内でふだん言えないようなデリケートな部分を、僕らが柔らかくして言うと笑いにつながりやすいですよね。昔からある社会風刺の文化と同じです。
事前準備をとても大事にしている
金ちゃん:事前に社員さんと、思っていることを教えてくださいってメールのやりとりをするんですけど、ほとんどの場合、そこで出てくるネタがめちゃくちゃ弱い。でも、これだとウケないからって、直接話を聞きに行くと、たくさんいい情報が出てくる(笑)。
やっぱり会社に気を遣っているところがあるから、メールでは書きにくい。でも、顔を合わせると「実はこんなことがあるんです」って話してくれる。だから、できるだけ直接話を聞くようにしています。
そこで出た、言いにくい話をイベントで使うとめちゃくちゃウケて、あとで感謝されるんです。そういう意味では会社のヒエラルキーの中で、ストレス発散の役割を担っているのかもしれません(笑)。
坂井:賞レースや劇場といったお笑いが好きな人が来る現場と、企業案件で出向く現場では、お客さんの笑いのポイントがまったく違います。そこで1つ言えるのは、ウケることが正義。「いつものネタをやって、ウケなければそれでいい」というストロングスタイルの芸人もいますけど、僕らはどんな手を使っても、何が何でもその場を盛り上げる。
僕らのような邪道の芸人でもそういう意識で現場に行きます。そのためには事前の準備はすごく大事だから、調べたり、関係者に聞いたりする努力はいつもします。企業営業担当者は、ネタがおもしろい芸人を呼ぶわけではなくて、そういう部分で僕らに声をかけてくれるんだと思います。
金ちゃん:非売品のグッズを手伝ってくれた社員にプレゼントしたり、とにかくよろこんでもらう。それが商売の基本ですから。斜に構えて10分ネタやって、終わったら帰るっていう売れてる芸人さんもいますけど(笑)。
坂井:だれのこと?
金ちゃん:笑い飯さんとか(汗)。
坂井:笑い飯さん、めちゃくちゃウケてるよ。
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