「渋谷ハロウィン中止」に見る日本の不寛容の本質 イベントで街占拠が当たり前の国も

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つまり、日本人も含むすべての国の一部の人は騒ぐのは好きだが、日本人は他人が騒いでいることに不寛容、あるいは騒いでいるところを他人に見られることは恥である、と考える民族と言えるかもしれません。

先に私見を述べておきますと、かつて渋谷に住んでいた際、会社からの帰宅途中にハロウィンの行列に巻き込まれたことがあります。私自身は仮装パーティに興味がありません。しかし、年に1回ならこんな日があってもいいなと思えました。つまり、やってもやらなくても「どうでもいい」というスタンスです。

ベルリン地下鉄のメッセージ「どうでもいい」

さて、「どうでもいい」はドイツ語で Is mir egal と言います。実はドイツのベルリンの地下鉄のキャンペーンで作られた曲で同名の曲があります。数年前に日本でも話題になったんですが、その動画が面白いので興味がある方は一度ご覧になってください(→BVG - „Is mir egal", ft. Kazim Akboga)。

この曲は地下鉄やバスなど公共交通機関でさまざまな、日本人の感覚ではマナーが悪いとされている人(例えば、髪を逆立ててパンクロック風のファッションをした人や、電車内で楽器を演奏する人、馬に乗った人、愛し合うゲイカップル、仮装をした人、電車内で玉ねぎを切り刻む女性)に対して、「どうでもいい」(乗ってかまわない)と言い続けています。

この動画内で地下鉄に乗れなかったのはただ1人、お金がなくて電車賃を払えなかった男性のみです。ベルリンの地下鉄は東京ほど混雑はしませんが、大国の首都であるベルリンは地下鉄乗車率はそこそこ高いです。

それでも、乗客へのマナーを啓蒙する代わりに、「うちらは電車内でどんなことをしてても大抵のことは許すよ」というメッセージを発しています。ここでベルリンを住みにくそうと思った方(大抵の日本人はこっちだと思われます)も、住みやすそうだと思った方もいらっしゃると思います。

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