電話に出ない若手と「自分ばかり出る人」の深い溝 「なぜ私ばかりが電話に出なくちゃいけないんですか」
世間では「電話そのものをなくす」という選択も広がりつつある。
「AIが進化しているのだから、WEBサイトのチャットボットを強化すればいい」「チャットボットでも対応できないものは、問合せフォームから受け付ける」
こういった意見もあるのだ。
「働き方改革で長時間労働ができなくなった。1分1秒も惜しい」「WEBサイトを見ればわかる問合せだったり、営業電話に対応している時間などない」
このような現場の声は、無視できなくなっている。わからないでもない。しかし、こうすれば本当に問題は解決するのだろうか。
上司のコップにビールをつげない若者
以前、25歳の若者と採用面接をした。流通会社に勤務する営業だ。とても成績がよく、この経験を活かして営業コンサルタントになりたいと、当社の門をたたいてくれた。
とても優秀な若者だった。最終面接もパスした。ただ、オンラインでの面接しかしていないため、一度リアルで会おうということになった。そこでコンサルタントの部下と一緒に、お酒を飲みに出かけた。
そのほうがフランクに話せると思ったからだ。本人も「ぜひ」と参加してくれた。
だがその飲み会の席で、私たちはとても引っかかることがあった。それは、彼が空いているコップにビールをつぐことができないことだ。
「コロナの時代になってから社会人になったので、慣れてないんです。ずっとオンラインで営業していたので」
と言う。私たちは「気にしないで」と言った。
「ボチボチ慣れていけばいい」と伝えた。
ところが本人は、とてもそれが気になるようだった。
「この会社に入ったら、目上の人にビールをつぐという決まりがあるんですか?」
と質問された。
「そういう決まりはないけれど、一般常識かなと思うよ」
と言ったのだが、納得がいかないようだった。
「お客様と飲みにいくときもあると思う。そういうときは、ビールをつぐだけでなく、いろんな気遣いは必要だよ」
と言っても、
「古い考えですね」
と反論するのだった。
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