この1年を彼は、予備校に通わずに自宅浪人をすることを決めます。
「うちは経済的な余裕がないと思っていたので、予備校には通わずに自宅がある石垣島で浪人することにしたんです。通信教育で、鉄緑会が添削指導をしてくれるサービスがあったのでそちらを利用しました」
バイトで勉強に手がつかなくなった
しかし、この決断が浪人を長引かせる要因になってしまった、と後に喜屋武さんは分析します。
「日中は図書館で勉強をしていたのですが、受験費用や東京の大学のオープンキャンパスに行くお金を自分で稼ぎたいと思い、気分転換も兼ねて夏から居酒屋でアルバイトを始めたんです。
最初は週2〜3回しか入らないつもりだったのですが、店長やバイト先の先輩の頼みを断れないタイプだったので、3〜4時間勤務がしだいに延びて帰宅が深夜になり、勤務日数も週5になっていました。本格的にバイトをする前までは平均で8時間程度勉強していたのですが、時間やエネルギーをバイトに持っていかれて、日中の勉強が手につかなくなってしまったんです」
こうした生活で勉強時間が大きく不足したため、E判定だった国際基督教大学が、かろうじてD判定になったくらいで、成績はそんなに伸びなかったそうです。
この年も結局、前年と同じ大学を3つ受けるも全落ちしてしまいました。
「『惜しかった』という感覚もなくこの年の受験は終わりましたね」
1浪目で落ちた理由を彼は「勉強のペースを崩したこと」と振り返ります。
「孤独に勉強をしていたので、モチベーションの維持がうまくできませんでした。バイトを入れすぎてしまったのも原因です。環境的に自分は宅浪が向いていなかったんでしょう。また、勉強をする中で、国際基督教大学は特殊な入試方式だったため、勉強も特殊なやり方を要求されることがわかってきたので、独学で入れるイメージが湧かなくなりました」
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