東大生と芸人考案「離島の小学校で授業」その狙い 都市部と地方の教育格差是正もアプローチ
一方、東大にとって本プロジェクトは、子どもたちへの授業による“教え”の提供と同時に、東大生のキャンパス外での学びの場ともなる。
国内外を問わず、社会貢献活動や国際交流、地域体験、企業提携など幅広い取り組みを実施している東大の「東京大学体験活動プログラム」は、今年だけですでに80本ほどある。
過去に多種多様なプログラムを実施してきたなかでも、東大生が授業カリキュラムを作って実際に小学校で授業を行うのは、今回が初めての試みだった。
その準備には、東大生と芸人、吉本興業スタッフが3カ月をかけてきた。同プログラムを運営する東京大学の社会連携部・部長の平野裕士氏は、今回のプロジェクトの過程に触れ、「学生は芸人さんの話し方などコミュニケーション力を学ぶことができる貴重な機会になりました。それと同時に、大人たちと3カ月間を通してひとつのことを成し遂げたことが、大きな社会勉強になっています」と話す。
また、はじめは不安だったと明かす東大生は、準備段階について「大学では学べないことを社会で幅広く学んでいかないといけないと感じました」と振り返る。
そして、授業で向き合った子どもたちに対しては「私は勉強が楽しくて東大に入りました。子どもたちが学ぶことを楽しいと思ったら、この先もがんばるはず。学ぶ楽しさを伝えたいです。同時に私自身も学びが楽しいことを再確認できた場でした」と特別授業から得た学びを語った。
1日の最後の印象的な子どもたちの姿
芸人と東大生がともに周防大島町の子どもたちの学びへの熱い思いをかけた特別授業は、1日の最後が印象的だった。締めの全員での記念撮影が終わる頃には、6年生たちから「終わるのが寂しい」という声があちこちから聞こえ、プログラムがすべて終了して解散した後も、多くの子どもたちと保護者が芸人の見送りに残った。
そんななか、この日の“先生たち”は「絶対にまた来てね」という子どもたちの温かい言葉に送られて、手を振りながら学校をあとにした。
子どもたちが目を輝かせる姿からは、この日の授業が特別な思い出になり、1人ひとりそれぞれの心に刻み込まれたなにかがあることを感じさせた。それこそが本プロジェクトの意義であり、町長と教育長が話していた、子どもたちの学校勉強だけではない、大切な人生経験を得る学びの場になったことを示している。
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