東大生と芸人考案「離島の小学校で授業」その狙い 都市部と地方の教育格差是正もアプローチ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

また今回の特別授業では、子どもたちだけでなく、見学する各小学校の教員たちにも、そこから得たものをそれぞれの学校で還元していくことが期待されている。

「町の教育目標の1つに“マネジメント能力の育成”を掲げています。今回の特別授業は、まさにそれを学ぶことができるこれ以上ない場。芸人さんは考えたことを短い時間でいろいろな形として出していく。それを子どもたちが授業で学ぶのと同時に、芸人さんと子どもたちの応答関係からは教員が学べるマネジメントもあります。初めての取り組みですが、子どもたちと教員の双方に新しい視点を与えてくれました」(周防大島町教育委員会の星野朋啓教育長)

教育格差是正へのアプローチも

本プロジェクトのもう1つの狙いには、現代の社会問題の1つである都市部と地方の教育格差の是正に向けたアプローチがある。

周防大島町の6年生は、ひとり1台のタブレット端末が支給され、オンライン環境の教育インフラは整っている。一方、学校外の塾などの学習の場や、地域クラブといった交流の場の数は、都会と比べて少ない。人口の違いにより、子どもたちの社会経験値としては都会と差が出てしまう。

その経験の場を作り出し、地方の子どもたちにふだん得られない学びや気づきを与えるのが本プロジェクトだった。今回のような芸人や東大生との交流から子どもたちが得るものは人それぞれだろう。しかし、将来の選択肢が増えることにつながり、今回の経験がその先の人生を形づくっていく礎になる子どももいるかもしれない。

この日、プロジェクトサポートでボランティア参加していた地元の山口県立周防大島高校の生徒は、「僕たちの高校でもこの課外授業をやってほしい」と話していた。本プロジェクトには意義もニーズもある。これからさまざまな地域で継続していくことが期待される。

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事