60歳のとき、保険会社をつくりましょうと声を掛けられたんです--出口治明・ライフネット生命保険社長(第1回)

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 僕が同意した途端、気が早いことに谷家さんは「じゃあ明日から僕は何をすればいいですか。すぐ準備をします」とおっしゃいました。すでに僕の中ではビジネスプランがあったので準備してもらうことは何もなかったのですが、1人で生命保険会社を作るのは難儀です。パートナーとして日本生命の部下の顔が何人か浮かびましたが、その考えはすぐに打ち消しました。

僕もパートナーも同じ日本生命出身だったら“ミニニッセイ”みたいな会社になってしまう。谷家さんに「保険を知らない若い人を紹介してください」とお願いしました。すると、また驚くことに「ピッタリの人がいます」と谷家さんはおっしゃるんですね。

そのピッタリの人というのが、現在僕のパートナーであり、共にライフネットを立ち上げた現副社長の岩瀬大輔です。当時、岩瀬はハーバード大学に留学していました。毎日書いていたブログが谷家さんの目に留まり、まだ卒業前でしたがスカウトされていたのです。

--すでにビジネスプランがあったのですか。いつ頃から構想を温めていらっしゃったのですか。

僕は、生命保険業界や生命保険のあり方は間違っているとずっと思っていました。戦後の金融は、野口悠紀雄氏が『1940年体制~さらば戦時経済』(東洋経済新報社)で指摘された40年体制の世界だと思っています。

商品の内容も値段も為替も、金融庁や業界団体が決め、単に民間企業はその決められたものを売るだけで真の経営をしていない。まさに“戦時体制”の延長です。

同一商品であれば銀行なら店舗数、生保ならセールスマンの数で決まるわけです。20世紀後半の50年間はそれでよかったかもしれない。しかし今は違う。

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