近年、観光においてDXは大きなテーマとなっているが、それを実現するためにはデータ活用が欠かせない。
DXは単なるIT活用による作業の効率化ではなく、デジタル技術による生活の変革を志向するものであり、既存の価値観を覆す技術革新が期待されるものである。見方によっては「歴史」を破る側に見えるかもしれない。だが、どうもそうではないようだ。
豊岡市が示す、新たな「価値観」
豊岡市は、DX実現に向けて動きを開始しており、具体的な試みに「まち全体が1軒の温泉旅館」というものがある。観光庁や経済産業省などから観光DXの先進事例としても紹介されている。
そのデータの取り扱いについて示唆深い話がある。
旅館等の宿泊事業者にとっては、本来データは自分たちだけで秘匿したい情報である。データの共有は競合事業者を利する可能性もあると考える方が一般的だろう。けれども、まち全体が1つの旅館とする、共存共栄という自分たちの経営哲学からは「公共財としてのデータ」という発想が生まれている。
つまり、豊岡は「地域の公共財としてのデータ」と「私企業の機密情報としてのデータ」という矛盾を、共存共栄という地域の歴史が育んできたコンセプトで突破しようとしているのだ。
今後、どのような結論になるのかは分からないが、既存の価値観を破壊するイノベーション的改革のよりどころが、まちの歴史から読み解かれようとしているのだ。
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