「投資は怖い」と思う日本人が守るべき投資3原則 お金の価値が目減りしていく今だからこそ

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投資は貯めてからするものではなく、「貯めながらする」ことを私は提唱しています。投資信託の普及は、それを可能にしてくれたといえます。

日本人は気長に待つのが苦手?

私はこれから投資を始めようという人に、よく「桐の木」の話をします。 

昔の日本では、女の子が生まれると、庭に桐の木を植えました。桐は少しずつ大きくなり、やがて女の子が成長して結婚するときに、桐の木を切ってタンスをつくり、嫁入り道具に持たせたという話です。

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桐の木は一足飛びに大きくなりません。10年とか20年の時間をかけて大切に育てる。そうすることで、やがて桐のタンスという資産を手にすることができるわけです。

これは、投資を始めるにあたっての心構えにそっくり当てはまります。

「小さく・ゆっくり・長く」

これが私の考える初心者の3原則です。「小さく」とは、欲張らずに少額から始めましょうという意味です。投資信託の場合、以前は最低投資額が1万円でしたが、いまはネット証券の場合、100円からでもできるところがあります。

そして大切なのが「ゆっくり・長く」です。じつは日本人は長期に構えて結果を待つのが苦手で、投資信託の平均保有年数は2.8年。これはほかの先進国と比べてかなり短い数字です。日本人は投資をしたがらないのに、宝くじは人気があることからしても、短期で結果が出るものが好きなのでしょう。

しかし、宝くじと投資は違います。結果を急がず、ゆっくり構えてコツコツ増やす。これが私のすすめる投資スタイルの基本です。

藤野 英人 投資家。レオス・キャピタルワークス代表取締役会長兼社長CEO&CIO

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ふじの ひでと / Hideto Fujino

1966年富山県生まれ。国内・外資大手投資運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年に独立しレオス・キャピタルワークス株式会社を創業。とくに中小企業株および成長株の運用経験が長い。「お金」や「投資」を通して、株式会社や日本社会、世界経済のあるべき姿を模索し続けている。教育にも注力しており、東京理科大学上席特任教示、叡啓大学客員教授、淑徳大学地域創生学部客員教授も務める。著書に『投資家が「お金」よりも大切にしていること』(星海社新書)、『投資家みたいに生きろ』(ダイヤモンド社)ほか多数。

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