日本人が実は理解していない「完璧主義」の大問題 一流エンジニアが伝授「楽して価値を生む」技術

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①1つだけピックアップする

インターナショナルチームで周りを観察すると、一番実践しているプラクティスだ。私は優先順位をうまくつけるのが本当に苦手で、あれもこれも大切に見えてしまう。だから思い切って、「一番重要なのはどれか?」を考えてそれだけをやるようにした。

最終的に3つピックアップするケースでも、まず最初に1つだけピックアップしてから、あとの2つをピックアップする。残りをスルーするのは最初は恐怖だろうが、結局はユーザー側もたくさんあると理解できない。よく使う機能はせいぜい3つくらいだろう。

まず、一番重要な「1つだけ」をピックアップする癖をつけると、時間がないときも、少なくともポイントを外さない仕事を高速で回せるようになってくる。そうすると、案外「やらないといけない」と思っていたことをやらなくても、問題にならないことがわかってくる。

無論すべてのケースで「1つだけピックアップ」方式が通用するわけではないが、これを3回繰り返せば3つピックアップできる。

重要なのは、10個のうち1〜3個しかやらないことは決して悪ではなく、そのほうが「バリュー」として効果的なことを体感することだ。

時間内に無理なものは諦める

②時間を固定して、できることを最大化する

あれもこれも「すべき」というマインドだと、どうしても時間をだらだらと延長してしまいがちだ。海外のチームメイトを観察していると、「すべき」から時間を計算するのではなく、時間は固定して、その中で価値を最大化するという行動をとっている。

例えばロッシェルさんと打ち合わせをするときも、「あれも、これも課題だな」と思っても、時間が延びることはまずなく、この時間でできる範囲の中で、最大限バリューが出ることにフォーカスして、「今日はこの2つだけやろう」といった思考に切り替わる。

時間が最大の制約なので、時間内に確実にできる数に絞って、最大の成果を出せることに集中する。

皆さんも、なんにも準備できていないのに急に明日プレゼンをすることになったら、無理なものは諦めて、バサバサと要素を切り捨てているはずだ。きれいなドキュメントをつくる暇はなく、「やること」の数を減らし、本当に重要なことのみ時間内に伝えられるように意思決定せざるをえないだろう。

「まだ完璧じゃない」と最初は怖くなるかもしれないが、そこで「抜けていく」ようなことはたいていあまり重要ではないし、必要なことならほかの誰かからフィードバックを得られるので、臆せずスピーディーに実施するといい。

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