同社ホームページでは「私たちが見据えている未来は、実店舗と同じような購買体験がECでも得られ、購買前から購買後までの欲しい情報がシームレスに提供される世界です。服を買っていただくまでがゴールではなく、買っていただいた後も、長く、たくさん着ていただきたい。目指すのは、デジタルマーケティングと店舗の一対一の接客を融合した究極の購買体験」だと述べている。
論理のアラ、突っ込みどころがあっていい
この目標を実現するための施策の1つが、コーディネート検索アプリ「StyleHint(スタイルヒント)」だ。StyleHintでは、自分が持っている服を撮影した画像をアプリにアップすると、それに似ている服の着こなし画像が表示される。写真に写った服が画像認識され、類似のユニクロやGUの商品が表示されて、気に入ったアイテムはそのままオンラインで購入することもできる。
これは、ドラえもんの「かわり絵ミラー」の現代版であるとも言える。この道具は、変身したい相手の姿を鏡に映しながらスプレーを自分にかけると、見る角度を変えるだけでその人に見えるようになる道具だ。
「技術の進化はいずれ追いつくだろう。まずビジネスモデルを構想するほうが先だ」と考えて、制約条件を捨てられること、夢を描けること。これが、「ロジカルシンキングを捨てた発想のジャンプ」なのである。
ロジカルシンキングの帰納法で根拠として使用する事実は「過去」の事実である。「過去」から発想するビジネスモデルは、大きくジャンプできない。「ドラえもん」の作者、藤子・F・不二雄氏になったつもりで、未来を構想するスキル、これが、「ロジカルシンキングを捨てた発想のジャンプ」である。
ロジカルシンキングを捨てているので、当然ながら論理のアラはある。突っ込みどころもたくさんある。前々回の記事「SAPIXも早稲アカも『DX戦略』なしに生き残れない」で私は「中学受験塾、高校受験塾のDXで進化したビジネスモデル」を構想したが、これも論理のアラはあるし、突っ込みどころもたくさんあるだろう。
しかし、それで構わないのである。まず、未来を構想し、構想した未来に突っ込みを入れられ、その突っ込みをもとに修正していく。そのプロセスこそが「次世代DXビジネスモデル構想」プロセスなのである。
これまで3回の寄稿で検討してきたとおり、DXに対する取り組み、特に売上拡大につながるDXビジネスモデルの構想は一筋縄ではいかない。でも、一筋縄ではいかないからこそ、多くの企業にチャンスがあるともいえる。成熟市場で業界順位が固定化されているような企業でも、DXによる逆転、順位変動の機会がある。
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